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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第6章 ♠RoundⅣ(踏み出した瞬間)♠
「ねえ、紗英?」
紗英子の様子がいつもと違うことに気づいたのだろう。有喜菜が小首を傾げた。
「本当にどうしたの、何があった? 直輝と喧嘩でもしたの?」
突如として有喜菜の珊瑚色の唇から出た夫の名に、紗英子はピクリと反応した。
いや、今は動揺している場合ではない。しっかりしなくては、長年の夢が実現するかどうかの瀬戸際に自分は立っているのだから。
が、いざ切り出すとなると、話の緒(いとぐち)が見つからない。話の持っていきようによっては、大失敗に終わるだろう。ここは慎重に事を運ばなくては。
想いに沈む紗英子を、有喜菜は心配と警戒の入り混じったような顔で見ている。
突如として歓声が響き渡り、二人の間のどこか気詰まりな沈黙を破った。
思わずホッとして振り向くと、斜面を女の子がすべっている。
紗英子の様子がいつもと違うことに気づいたのだろう。有喜菜が小首を傾げた。
「本当にどうしたの、何があった? 直輝と喧嘩でもしたの?」
突如として有喜菜の珊瑚色の唇から出た夫の名に、紗英子はピクリと反応した。
いや、今は動揺している場合ではない。しっかりしなくては、長年の夢が実現するかどうかの瀬戸際に自分は立っているのだから。
が、いざ切り出すとなると、話の緒(いとぐち)が見つからない。話の持っていきようによっては、大失敗に終わるだろう。ここは慎重に事を運ばなくては。
想いに沈む紗英子を、有喜菜は心配と警戒の入り混じったような顔で見ている。
突如として歓声が響き渡り、二人の間のどこか気詰まりな沈黙を破った。
思わずホッとして振り向くと、斜面を女の子がすべっている。