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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第6章 ♠RoundⅣ(踏み出した瞬間)♠
「今時の女の子って、皆、あんな感じなのかしら」
 有喜菜も紗英子も共に三十五歳、早くに子どもを生んでいれば、もうあれくらいの娘がいてもおかしくはない。現に、中学時代の同級生の中には中学生どころか高校生の子どもがいる者だっている。
「さあね。こんなオバさんになったら、今時の若い子のことはてんで判らないわ」
 有喜菜が心もち肩をすくめた。
「あの子たちを見てたら、思い出したの」
「思い出すって、何を?」
 紗英子は今日、初めて有喜菜を真正面から見た。相変わらず、白いシャツと黒のタイトスカートが抜群のスタイルを引き立てている。
「私たちが中学生だった頃のこと」
 ああ、と有喜菜が頷いた。
「そうよね。私たちも、いつもあんな風に帰ってたものね」
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