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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第6章 ♠RoundⅣ(踏み出した瞬間)♠
「私が自転車通学で、有喜菜は歩きだったよね。有喜菜はさっきの子のように、この坂を勢いよくすべるのが好きで、私ははらはらしながら見てた」
「もう、随分と昔になったわね」
有喜菜がしみじみと言った。恐らく、この瞬間には、二人は同じことを考えているはずだった。同じ制服を着て、同じ道を通い、同じ時代を生きた同士であり、仲間だ。
紗英子の中で有喜菜に対する親近感が急速に増した。今、有喜菜と自分は間違いなく同じ時間を、想い出を共有している。
「あなたの言うとおりね。あの頃がもう随分と昔のような気がするわ」
紗英子は呟き、空を見上げた。雲一つない抜けるような蒼い空。薄青い冬の空はいかにも寒々しく寒走って見える。
「あの頃は良かった、戻れるものなら時を巻き戻して、あの時代に帰りたいわ」
視線を戻し、前方を見ても、既に少女たちの姿はどこにも見当たらなかった。
「もう、随分と昔になったわね」
有喜菜がしみじみと言った。恐らく、この瞬間には、二人は同じことを考えているはずだった。同じ制服を着て、同じ道を通い、同じ時代を生きた同士であり、仲間だ。
紗英子の中で有喜菜に対する親近感が急速に増した。今、有喜菜と自分は間違いなく同じ時間を、想い出を共有している。
「あなたの言うとおりね。あの頃がもう随分と昔のような気がするわ」
紗英子は呟き、空を見上げた。雲一つない抜けるような蒼い空。薄青い冬の空はいかにも寒々しく寒走って見える。
「あの頃は良かった、戻れるものなら時を巻き戻して、あの時代に帰りたいわ」
視線を戻し、前方を見ても、既に少女たちの姿はどこにも見当たらなかった。