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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第6章 ♠RoundⅣ(踏み出した瞬間)♠
同じ時代を共有していた二人は、別々の高校に進学した。直輝と紗英子は公立のN高校へ、小さいけれど貿易会社を営む父親を持つ有喜菜はお嬢さま学校として知られる私立の女子校へと進学し、それぞれの進む道は別れた。
そう、時は二度と戻せないし、人は過去に帰ることもできない。ただ、ひたすら未来へ、前へ向いて進むしかない。たとえ、その先に何が待ち受けていようとも、後戻りはできないのだ。
「―有喜菜に頼みがあるの」
紗英子は改めて、知り合って三十五年になろうとする親友の顔を見つめた。
「私の赤ちゃんを産んでくれる?」
「紗英、何を言ってるの、私―」
流石に有喜菜も言葉を失っている。
「代理出産を考えているのよ。その代理母の役目をあなたに引き受けて欲しいと思ってる」
そう、時は二度と戻せないし、人は過去に帰ることもできない。ただ、ひたすら未来へ、前へ向いて進むしかない。たとえ、その先に何が待ち受けていようとも、後戻りはできないのだ。
「―有喜菜に頼みがあるの」
紗英子は改めて、知り合って三十五年になろうとする親友の顔を見つめた。
「私の赤ちゃんを産んでくれる?」
「紗英、何を言ってるの、私―」
流石に有喜菜も言葉を失っている。
「代理出産を考えているのよ。その代理母の役目をあなたに引き受けて欲しいと思ってる」