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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第3章 ♠Round.Ⅰ(喪失)♠
―ちょっとお産の妊婦さんが一杯で、予備の部屋しか空きがないんだけど、構わないかしら。
その部屋というのが赤ちゃんのいる新生児室の前なのだと告げられ、今更、いやだと言えるはずもなかった。
こじんまりとした病院ではあるが、外観はオシャレなペンション風だし、部屋は病室とは思えないほど内装も明るい。ベッドは病院特有の作りではなく、ごく普通の家庭で使われるようなデザインだ。姫風の部屋あり、シンプルなブルーで統一された部屋ありと、さながらレディースホテルのような雰囲気である。食事は三度ともこれも豪華で、ホテル並み、こんなところで出産できるなら、願ったり叶ったりだろう。
しかも、院長はまだ30代半ばで、無口ではあるものの、腕は確かで患者の立場になって考えてくれる優しい医師だと評判である。院長は愛想が良いというのではなく、寡黙ではあるけれど、患者の気持ちに寄り添ってくれるところから、一人目を産んだ妊婦がまた二人目以降もここで生みたいと願うケースが圧倒的に多いそうだ。
その部屋というのが赤ちゃんのいる新生児室の前なのだと告げられ、今更、いやだと言えるはずもなかった。
こじんまりとした病院ではあるが、外観はオシャレなペンション風だし、部屋は病室とは思えないほど内装も明るい。ベッドは病院特有の作りではなく、ごく普通の家庭で使われるようなデザインだ。姫風の部屋あり、シンプルなブルーで統一された部屋ありと、さながらレディースホテルのような雰囲気である。食事は三度ともこれも豪華で、ホテル並み、こんなところで出産できるなら、願ったり叶ったりだろう。
しかも、院長はまだ30代半ばで、無口ではあるものの、腕は確かで患者の立場になって考えてくれる優しい医師だと評判である。院長は愛想が良いというのではなく、寡黙ではあるけれど、患者の気持ちに寄り添ってくれるところから、一人目を産んだ妊婦がまた二人目以降もここで生みたいと願うケースが圧倒的に多いそうだ。