この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第6章 ♠RoundⅣ(踏み出した瞬間)♠
よくこれだけ喋ることがあるものだと我ながら呆れるくらい、色んなことを喋った。家族のこと、勉強のこと、応援しているアイドルのこと。でも、今から思えば、共通の友人であり、紗英子の彼氏でもある直輝については、まるで暗黙の了解でもあるかのように、二人ともに話題にはしなかった。
あれも今から考えれば不自然なことだったかもしれない。もしかしたら、有喜菜は直輝を好きだったのだろうか。思えば、そんな節はなきにもしあらずだった。
―だからこそ、二年になって有喜菜と直輝が別々のクラスになり、今度は自分が彼と一緒のクラスになるやいなや、紗英子は直輝に急接近し、自分から告白したのである。まるで有喜菜が彼の側からいなくなるのを待っていたように、直輝に近づいたのだ。
もっとも、その時、まだ有喜菜と直輝は付き合っていたわけでもないし、傍目には、ただの喧嘩友達―むしろ男同士の友情に近いものを築いているように見えた。だが、それはあくまでも、見た目にすぎず、同人同士の間に何があり、どのような心の交流があったのか、もしくは秘められていたのかまでは判らない。
あれも今から考えれば不自然なことだったかもしれない。もしかしたら、有喜菜は直輝を好きだったのだろうか。思えば、そんな節はなきにもしあらずだった。
―だからこそ、二年になって有喜菜と直輝が別々のクラスになり、今度は自分が彼と一緒のクラスになるやいなや、紗英子は直輝に急接近し、自分から告白したのである。まるで有喜菜が彼の側からいなくなるのを待っていたように、直輝に近づいたのだ。
もっとも、その時、まだ有喜菜と直輝は付き合っていたわけでもないし、傍目には、ただの喧嘩友達―むしろ男同士の友情に近いものを築いているように見えた。だが、それはあくまでも、見た目にすぎず、同人同士の間に何があり、どのような心の交流があったのか、もしくは秘められていたのかまでは判らない。