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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第3章 ♠Round.Ⅰ(喪失)♠
「お父さんがたっくんにくれたプレゼントね? さあ、何かなぁ」
 母親の方はまだ20代後半か30になったばかりというくらいだろう。
 紗英子が直輝と結婚したのが23だったから、すぐに子どもが生まれていれば、丁度、あんなものだったかもしれない。
 母親の腕にはまだ明らかに新生児だと判る赤ちゃんがピンクのおくるみに包まれて眠っていた。女の子なのだろうか。
「飛行機なんだよ、飛行機。ラジコンでね、本当に飛ぶんだよ。凄いでしょ」
「良かったね、たっくん」
「ボク、もう泣かないんだよ。ママがいなくても、頑張ってお留守番するんだ。だって、6歳になったし、来年は小学校に行くし、お兄ちゃんだからね」
「偉いねぇ」
 大好きな母親に褒められ、男の子は得意げに小さな鼻をうごめかしている。
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