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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第9章 ♦RoundⅥ(天使の舞い降りた日)♦
むろん、医師の言うように、まだまだ油断するべきときではなく、もしかしたらこの歓びがぬか喜びに終わってしまう可能性だってあることも理解はしているつもりだ。
しかしながら、体外受精の中でも更に高度な顕微授精、しかも代理母の子宮に受精卵を戻すという大変難易度の高い治療が初回で成功する―それがどれほど稀有で幸運なことかも判っていた。
かつて紗英子自身が受けた三度の体外受精でも経験済みなように、体外受精というのはむしろ成功する確率の方が極めて低いのである。上手く行くカップルは大抵、一度目でなくても二度め、三度目くらいで成功するし、それで成功しなければ何度高額な治療費をかけて試みても成功はしないといった無情な側面がある。
大概の夫婦は数度試した段階で、治療を断念する。というより、せざるを得ないのだ。不妊の原因が例えば病的なものである場合の治療そのものに保険は効くけれども、体外受精にはきかず、すべて自費で支払わなければならない。一度が五十万単位の高額医療をそう何度も試せるはずがない。
しかしながら、体外受精の中でも更に高度な顕微授精、しかも代理母の子宮に受精卵を戻すという大変難易度の高い治療が初回で成功する―それがどれほど稀有で幸運なことかも判っていた。
かつて紗英子自身が受けた三度の体外受精でも経験済みなように、体外受精というのはむしろ成功する確率の方が極めて低いのである。上手く行くカップルは大抵、一度目でなくても二度め、三度目くらいで成功するし、それで成功しなければ何度高額な治療費をかけて試みても成功はしないといった無情な側面がある。
大概の夫婦は数度試した段階で、治療を断念する。というより、せざるを得ないのだ。不妊の原因が例えば病的なものである場合の治療そのものに保険は効くけれども、体外受精にはきかず、すべて自費で支払わなければならない。一度が五十万単位の高額医療をそう何度も試せるはずがない。