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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第9章 ♦RoundⅥ(天使の舞い降りた日)♦
直輝はどんな気持ちで紗英子の告白を受け容れたのか。その場で快諾したというくらいだから、彼もまた有喜菜など眼中になく、紗英子だけを見つめていたのか。
だが、であれば、何故、彼は紗英子に妻となってからも見せなかった大切な宝物を有喜菜には早くから見せてくれたのか。今となっては、直輝の心を推し量るすべはない。
有喜菜は溜息をつき、緩慢な動作でベッドに身を起こした。その時、突如として烈しい吐き気が胃の底からせり上がってきて、有喜菜は手のひらで口許を押さえた。
狼狽えながらトイレに駆け込み、便座に掴まり覗き込むようにして吐いた。
「ううっ、う―」
恐らく今夜、紗英子と一緒にいたときに食べたものはすべて戻してしまったのではないか。それほどに吐いた。
漸く頑固な吐き気が治まってから、有喜菜は吐瀉物を流し、トイレを出た。洗面台で口をすすぎ、顔を洗うと少しは気分が良くなったが、不快感はまだ体内に残っている。
だが、であれば、何故、彼は紗英子に妻となってからも見せなかった大切な宝物を有喜菜には早くから見せてくれたのか。今となっては、直輝の心を推し量るすべはない。
有喜菜は溜息をつき、緩慢な動作でベッドに身を起こした。その時、突如として烈しい吐き気が胃の底からせり上がってきて、有喜菜は手のひらで口許を押さえた。
狼狽えながらトイレに駆け込み、便座に掴まり覗き込むようにして吐いた。
「ううっ、う―」
恐らく今夜、紗英子と一緒にいたときに食べたものはすべて戻してしまったのではないか。それほどに吐いた。
漸く頑固な吐き気が治まってから、有喜菜は吐瀉物を流し、トイレを出た。洗面台で口をすすぎ、顔を洗うと少しは気分が良くなったが、不快感はまだ体内に残っている。