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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第10章 ♦RoundⅦ(再会)♦
たまには日曜朝に教会の礼拝に参加することもあった。煩雑な日常の中で、町外れの小さな教会に身を置くと、どこかホッとした気持ちになれるのは確かだ。礼拝に顔を出す中には、名前は知らずとも顔見知りになった人もいて、そんな人たちがいつものように礼拝に参加しているのを見ると嬉しくなった。
時計のコレクション同様、彼がひそかなクリスチャンであることを妻は知らない。たまに日曜の朝、ふらりと出かけるのも散歩くらいにしか思っていないだろう。別に秘密にしておこうと思ったわけではないけれど、妻に知らせないひそやかな愉しみがあっても良いだろうと思って口にしなかっただけだ。
それに心配性の紗英子に迂闊に話せば、
―信仰宗教に入れ込んでいるんじゃないんでしょうね。
などと、騒ぎ立てるのは眼に見えている。
紗英子という女は、実家や婚家が仏教を信奉しているのに、キリスト教に惹かれている―そういうことを理解できない、許せないのだ。常識的といえば聞こえは良いが、要するに許容力が狭いのである。
時計のコレクション同様、彼がひそかなクリスチャンであることを妻は知らない。たまに日曜の朝、ふらりと出かけるのも散歩くらいにしか思っていないだろう。別に秘密にしておこうと思ったわけではないけれど、妻に知らせないひそやかな愉しみがあっても良いだろうと思って口にしなかっただけだ。
それに心配性の紗英子に迂闊に話せば、
―信仰宗教に入れ込んでいるんじゃないんでしょうね。
などと、騒ぎ立てるのは眼に見えている。
紗英子という女は、実家や婚家が仏教を信奉しているのに、キリスト教に惹かれている―そういうことを理解できない、許せないのだ。常識的といえば聞こえは良いが、要するに許容力が狭いのである。