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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第10章 ♦RoundⅦ(再会)♦
思えば中学生の頃、時計のコレクションを紗英子に見せなかったのも、紗英子のその性格を自分は見抜いていたからかもしれない。もちろん、コレクションを見せたからといって、紗英子はそれを否定したりはしなかったろう。が、あれこれと根掘り葉掘り訊きたがるには違いなかった。
男というものは自分が大切にしているものに対して、女にあまり口出しされるのは好まない。いや、それは男でも女でも同じなのではないかと思う。
その点、有喜菜は違った。紗英子と付き合うようになる前の中一時代、有喜菜はよく直輝の自宅にも遊びにきた。別に有喜菜にコレクションを見せたのは偶然のなりゆきにすぎなかったけれど、あの時、有喜菜は眼を輝かせて〝凄いわ〟と言っただけで、彼のコレクションについて煩く訊ねてきたり論じたりすることはなかった。
ただ一緒になって、直輝が大切に集めてきたコレクションに眺め入っていただけであった。あの時、有喜菜が静かな理解を示してくれことが、少年であった直輝には嬉しかった。たかだか中学生が集めた安物の腕時計たちがこの上なく価値のあるもののように思えたのだ。
男というものは自分が大切にしているものに対して、女にあまり口出しされるのは好まない。いや、それは男でも女でも同じなのではないかと思う。
その点、有喜菜は違った。紗英子と付き合うようになる前の中一時代、有喜菜はよく直輝の自宅にも遊びにきた。別に有喜菜にコレクションを見せたのは偶然のなりゆきにすぎなかったけれど、あの時、有喜菜は眼を輝かせて〝凄いわ〟と言っただけで、彼のコレクションについて煩く訊ねてきたり論じたりすることはなかった。
ただ一緒になって、直輝が大切に集めてきたコレクションに眺め入っていただけであった。あの時、有喜菜が静かな理解を示してくれことが、少年であった直輝には嬉しかった。たかだか中学生が集めた安物の腕時計たちがこの上なく価値のあるもののように思えたのだ。