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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第10章 ♦RoundⅦ(再会)♦
「あ―」
直輝は声を上げ、言葉を失った。
ここに、このほんの少し膨らみかけた有喜菜の腹の中に、俺の子がいる。俺の、俺の血を分けた我が子が育っている。
直輝の胸に熱いものが込み上げた、不覚にも涙が出そうになり、彼は慌てて横を向いた。
そのときだけ、彼は紗英子が何故、あそこまで我が子を得ることに狂騒しているのか少しだけその心が理解できたような気もした。
しかし、それで、大切な有喜菜を非情にも利用したことを許せるかといえば、また別の話である。
「有喜菜、ありがとう」
知らず、そんなことを口走っていた。
「身体を大切にして、無事に身二つになってくれ」
照れくさかったので、早口で告げた。
そんな直輝を、有喜菜は謎めいた微笑を湛えて見つめている。
直輝は声を上げ、言葉を失った。
ここに、このほんの少し膨らみかけた有喜菜の腹の中に、俺の子がいる。俺の、俺の血を分けた我が子が育っている。
直輝の胸に熱いものが込み上げた、不覚にも涙が出そうになり、彼は慌てて横を向いた。
そのときだけ、彼は紗英子が何故、あそこまで我が子を得ることに狂騒しているのか少しだけその心が理解できたような気もした。
しかし、それで、大切な有喜菜を非情にも利用したことを許せるかといえば、また別の話である。
「有喜菜、ありがとう」
知らず、そんなことを口走っていた。
「身体を大切にして、無事に身二つになってくれ」
照れくさかったので、早口で告げた。
そんな直輝を、有喜菜は謎めいた微笑を湛えて見つめている。