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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第10章 ♦RoundⅦ(再会)♦
その夜、直輝は玄関まで迎えに出た紗英子の顔をまともに見る気もしなかった。
俺をまんまと騙していると思っているんだな、この女は。
今、この瞬間も、紗英子は代理母が有喜菜であることを俺が知らないと信じ込んでいる。今、ここで洗いざらいをぶちまけ、この女を罵ってやりたいが、有喜菜との約束がある。
―最後まで知らないふりを通してね。
有喜菜の懸命に訴える様子はいじらしかった。あんなに必死な様を見せられては、到底、約束を破れるものではない。
「お夕飯は? 良かったら、すぐに温め直しましょうか?」
窺うように問われ、思わず怒鳴ってしまった。
「要らないと言ってるだろう!」
あまりの剣幕に、紗英子が震え上がるのが判った。一瞬、後悔したものの、この女が有喜菜に対してした仕打ちを思えば、たいしたことではないと思い直す。
俺をまんまと騙していると思っているんだな、この女は。
今、この瞬間も、紗英子は代理母が有喜菜であることを俺が知らないと信じ込んでいる。今、ここで洗いざらいをぶちまけ、この女を罵ってやりたいが、有喜菜との約束がある。
―最後まで知らないふりを通してね。
有喜菜の懸命に訴える様子はいじらしかった。あんなに必死な様を見せられては、到底、約束を破れるものではない。
「お夕飯は? 良かったら、すぐに温め直しましょうか?」
窺うように問われ、思わず怒鳴ってしまった。
「要らないと言ってるだろう!」
あまりの剣幕に、紗英子が震え上がるのが判った。一瞬、後悔したものの、この女が有喜菜に対してした仕打ちを思えば、たいしたことではないと思い直す。