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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第4章 ♠RoundⅡ(哀しみという名の現実)♠
紗英子は何故か出たくないという想いに駆られたが、そういうわけにもゆかない。渋々、携帯を手に取った。
「もしもし」
―もしもし、紗英?
聞き憶えのある声音に、紗英子は一瞬、眼を見開いた。
「有喜菜! 有喜菜ね」
「そのとおり、私、有喜菜よ」
宮澤有喜菜。直輝と紗英子の共通の友人であり、二十三年に渡って付き合っている幼なじみでもある。
―ごめんね。仕事の方が忙しくて、お見舞いにも行けなくて。
有喜菜は保険外交の仕事をしている。四年前に、夫と離婚して今はシングルだ。今はパートとして雇われているが、いずれは正社員として勤務することが目標だと聞いているから、会社をそうそう休むことができないのは紗英子も理解しているつもりだ。
「もしもし」
―もしもし、紗英?
聞き憶えのある声音に、紗英子は一瞬、眼を見開いた。
「有喜菜! 有喜菜ね」
「そのとおり、私、有喜菜よ」
宮澤有喜菜。直輝と紗英子の共通の友人であり、二十三年に渡って付き合っている幼なじみでもある。
―ごめんね。仕事の方が忙しくて、お見舞いにも行けなくて。
有喜菜は保険外交の仕事をしている。四年前に、夫と離婚して今はシングルだ。今はパートとして雇われているが、いずれは正社員として勤務することが目標だと聞いているから、会社をそうそう休むことができないのは紗英子も理解しているつもりだ。