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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第4章 ♠RoundⅡ(哀しみという名の現実)♠
「良いのよ。生きるか死ぬかっていうようなものじゃなかったんだし」
屈託なく言うと、受話器の向こうから、どこかホッとしたような声が返ってくる。
―心配してたんだけど、声も元気そうだし、安心したわ。ねえ、もう出かけられるの?
「近くで少しの間くらいなら、大丈夫だと思うけど」
―なら、少し出てこない? 気晴らしにお茶でもしましょうよ。紗英もずっと家に閉じこもりきりじゃ、気が塞ぐでしょ。
「そうね、少しくらいなら良いわ」
時間と場所を決めて、電話を切る。
実に久しぶりの外出である。相手が女友達であろうが、心は弾んだ。いや、相手が長年の友達だからこそ、余計に惨めな姿は見せられないと思った。
女であることを止めてしまえば、それこそ、本当の意味で終わりになる。たとえ子宮はなくなったとしても、自分はまだ〝女〟なのだ。
屈託なく言うと、受話器の向こうから、どこかホッとしたような声が返ってくる。
―心配してたんだけど、声も元気そうだし、安心したわ。ねえ、もう出かけられるの?
「近くで少しの間くらいなら、大丈夫だと思うけど」
―なら、少し出てこない? 気晴らしにお茶でもしましょうよ。紗英もずっと家に閉じこもりきりじゃ、気が塞ぐでしょ。
「そうね、少しくらいなら良いわ」
時間と場所を決めて、電話を切る。
実に久しぶりの外出である。相手が女友達であろうが、心は弾んだ。いや、相手が長年の友達だからこそ、余計に惨めな姿は見せられないと思った。
女であることを止めてしまえば、それこそ、本当の意味で終わりになる。たとえ子宮はなくなったとしても、自分はまだ〝女〟なのだ。