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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第4章 ♠RoundⅡ(哀しみという名の現実)♠
 紗英子は自室に戻り、ドレッサーの前に座った。やはり、手術後まもないからか、顔色が悪い。血の気がなく、どこか黒ずんだような顔にファンデーションを塗り、更に上から白粉をはたいた。顔色の悪さをごまかすために、チークやハイカラーをそれぞれの箇所に入れる。
 元々薄くて細い眉をきれいに描き、仕上げに濃いめのアイシャドウを乗せて終わった。忘れていたことに気づき、慌ててルージュを引く。これも常よりは濃いめで鮮やかなローズピンクだ。
 改めて鏡を覗き込むと、幾分かはマシに見えた。髪の毛も艶がなく、ぱさついているが、これも病み上がりだから、仕方ない。艶だしスプレーをふり、念入りにブラッシングして緩くシニヨンに結い上げた。
 最後にお気に入りの髪飾りをつけて終了。これも何度目かの結婚記念日に、直輝がくれたものである。スワロフスキーが贅沢に散りばめられたリボン型のバレッタはかなり高価な買い物についただろう。
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