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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第4章 ♠RoundⅡ(哀しみという名の現実)♠
―恐らくは、このままでは赤ちゃんは亡くなってしまうでしょう。
有喜菜は医師に取り縋ったという。
―先生、そんなことを言わないでください。この子はまだ生きているし、ちゃんとこうして心臓も動いています。だから、何とか少しでも助ける方法があるなら、その方法を取ってください。
有喜菜の願いは聞き届けられ、すぐに帝王切開が行われた。胎内にいる間は何もできないが、生きて外へ出せば、わずかなりとも救命の治療はできる。このまま弱って行くのを待って死を迎えさせるよりは、一刻も早く外へ出し、できる治療を施して欲しいというのが有喜菜の願いであった。
しかし、必死の願いも天には通じなかった。帝王切開の手術が始まり、体外へ出される寸前まで赤ちゃんの心臓は弱々しいながらも動いていたのに、この世に生まれ出るあと一歩のところで心臓が止まった。
有喜菜は医師に取り縋ったという。
―先生、そんなことを言わないでください。この子はまだ生きているし、ちゃんとこうして心臓も動いています。だから、何とか少しでも助ける方法があるなら、その方法を取ってください。
有喜菜の願いは聞き届けられ、すぐに帝王切開が行われた。胎内にいる間は何もできないが、生きて外へ出せば、わずかなりとも救命の治療はできる。このまま弱って行くのを待って死を迎えさせるよりは、一刻も早く外へ出し、できる治療を施して欲しいというのが有喜菜の願いであった。
しかし、必死の願いも天には通じなかった。帝王切開の手術が始まり、体外へ出される寸前まで赤ちゃんの心臓は弱々しいながらも動いていたのに、この世に生まれ出るあと一歩のところで心臓が止まった。