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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第4章 ♠RoundⅡ(哀しみという名の現実)♠
 つまり、有喜菜は紗英子と違い、妊娠できる身体を備えているのである。これまで子どもに恵まれなかったのは、ひとえに運が悪すぎたということだろう。
 まあ、子どもがいないという事実には変わりがないし、その分、互いに通じ合うものはあるとは思っている。
「良かった、思っていたより顔色も良いし、元気そうね」
 有喜菜は微笑んだ。紗英子は向かい合う形で並んでいる椅子に座った。
 お昼過ぎとあって、カフェは大勢の女性客で溢れんばかりだ。数人で談笑している若い母親たちはそれぞれ幼児や赤ん坊を連れている。三人で和やかに何やら話し込んでいる上品な老婦人たち。
 白い丸テーブルにやはり、白い背もたれのついた椅子は造りそのものは丈夫だが、繊細な蔦模様がところどころ入っていて、テーブルとお揃いのデザインだ。細かな部分まで店側の気遣いの感じられる気持ちの良い店は居心地の良い空間を客たちに提供している。だからこそ、いつも満員状態に近いほどの客が来るのだろう。
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