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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第4章 ♠RoundⅡ(哀しみという名の現実)♠
やはり、少しの優越感が言葉に出てしまうのは致し方なかった。
幾ら良い女になっても、夫も子どももいないのではお話にもならない。その点、自分には子どもはいないけれど、有名企業に勤め、ルックスも良くて優しい夫がいる。どちらが立場が有利かは一目瞭然だ。
「ふうん、それで私に相談って、なあに」
有喜菜はいかにも気のなさそうな様子で訊いてくる。自分の心中は棚に上げ、紗英子は不愉快だった。
「何が良いと思う? 彼へのプレゼント」
有喜菜がやっと笑った。
「やだ、私に訊かないでよ。紗英は直輝の奥さんで、十二年も側にいるんだから、彼のことはよく知っているでしょう」
「それが判らないのよ、正直。私って、直輝さんに何かをして貰ってばかりで、あまりしてあげたことなんてなかったから」
「やっぱり、紗英。あなた、幸せ者よ」
幾ら良い女になっても、夫も子どももいないのではお話にもならない。その点、自分には子どもはいないけれど、有名企業に勤め、ルックスも良くて優しい夫がいる。どちらが立場が有利かは一目瞭然だ。
「ふうん、それで私に相談って、なあに」
有喜菜はいかにも気のなさそうな様子で訊いてくる。自分の心中は棚に上げ、紗英子は不愉快だった。
「何が良いと思う? 彼へのプレゼント」
有喜菜がやっと笑った。
「やだ、私に訊かないでよ。紗英は直輝の奥さんで、十二年も側にいるんだから、彼のことはよく知っているでしょう」
「それが判らないのよ、正直。私って、直輝さんに何かをして貰ってばかりで、あまりしてあげたことなんてなかったから」
「やっぱり、紗英。あなた、幸せ者よ」