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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第4章 ♠RoundⅡ(哀しみという名の現実)♠
あっと思ったときには、直輝に膝裏を掬われて抱き上げられていた。
「お前は昔から、物事をとことん突き詰めて考えてしまう癖がある。そういうのも良いときもあるけど、かえって余計に自分を追い込む羽目になることだってあるんだ。今は何も考えるな」
直輝は幼い子どもに言い聞かせるように話しかけながら、リビングを出て向かい合わせの寝室のドアを開けた。
二人用のベッドにそっと降ろされ、紗英子は夫を見上げた。淡いナイトスタンドの明かりだけが照らす寝室は森閑として、まるで深い深い水底(みなそこ)のようだ。夫の表情は薄闇の中では定かではない。
「直輝さん?」
直輝の心情がよく判らないだけに、紗英子はつい心細い声を出していた。
「久しぶりに、しようか?」
それは直輝が実に久しぶりに発した誘いの言葉、はっきり言えば、セックスしようという合図だった。
「お前は昔から、物事をとことん突き詰めて考えてしまう癖がある。そういうのも良いときもあるけど、かえって余計に自分を追い込む羽目になることだってあるんだ。今は何も考えるな」
直輝は幼い子どもに言い聞かせるように話しかけながら、リビングを出て向かい合わせの寝室のドアを開けた。
二人用のベッドにそっと降ろされ、紗英子は夫を見上げた。淡いナイトスタンドの明かりだけが照らす寝室は森閑として、まるで深い深い水底(みなそこ)のようだ。夫の表情は薄闇の中では定かではない。
「直輝さん?」
直輝の心情がよく判らないだけに、紗英子はつい心細い声を出していた。
「久しぶりに、しようか?」
それは直輝が実に久しぶりに発した誘いの言葉、はっきり言えば、セックスしようという合図だった。