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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第4章 ♠RoundⅡ(哀しみという名の現実)♠
紗英子はもう一度、はっきりと言った。
「どうして、今なの?」
あのときは私を色情狂扱いして、夫婦の営みには協力してくれなかったのに。私はあの夜だけに向けてひたすら努力して体調を整えてきたのに、あなたは無情にも背を向けた。それでも、私はあなたに何度もお願いと言って懇願した。
その翌朝まで、紗英子は泣き通しだった。生理が終わってから排卵日を迎えるまでの夜、自分がしてきた努力は一体何のためだったのかと問いかけながら―。
そんなことが何度、繰り返されてきたことか。その挙げ句、紗英子は子宮を失い、二度と子どもを生めない身体になった。
なのに、何で、今になって夫婦の営みをしようというのだろう? もう、紗英子には何の意味も持たない空しい行為にしかすぎないというのに。
「不妊治療をしていた頃、私が幾ら頼んでも、あなたは協力しようとはしてくれなかった」
「どうして、今なの?」
あのときは私を色情狂扱いして、夫婦の営みには協力してくれなかったのに。私はあの夜だけに向けてひたすら努力して体調を整えてきたのに、あなたは無情にも背を向けた。それでも、私はあなたに何度もお願いと言って懇願した。
その翌朝まで、紗英子は泣き通しだった。生理が終わってから排卵日を迎えるまでの夜、自分がしてきた努力は一体何のためだったのかと問いかけながら―。
そんなことが何度、繰り返されてきたことか。その挙げ句、紗英子は子宮を失い、二度と子どもを生めない身体になった。
なのに、何で、今になって夫婦の営みをしようというのだろう? もう、紗英子には何の意味も持たない空しい行為にしかすぎないというのに。
「不妊治療をしていた頃、私が幾ら頼んでも、あなたは協力しようとはしてくれなかった」