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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第4章 ♠RoundⅡ(哀しみという名の現実)♠
 もちろん、毎回拒まれたわけではない。嫌々な態度は見え見えではあったけれど、少なくとも〝義務〟は果てしてくれた。でも、それと同じ数くらい、拒まれたことも事実なのだ。その度に、紗英子の自尊心はどれだけ打ち砕かれ、多くの涙を流したことだろう。
「俺は、堪らなかったんだ」
 漸く紗英子の意図を理解したのだろう。直輝が首を振りながら言った。
「何が?」
 紗英子が問いかけると、直輝は小さな息を吐き彼女から離れた。ベッドの縁に浅く腰かけると長い脚を組む。
「お前は狂っている―、いや、別に本当に狂っていると思ってたわけじゃない。言い方が思いつかなくて、こんな風になっただけだから、許してくれ。だが、とにかく、俺から見たら、どうかしちまったんじゃないかと思うくらいに―何かに取り憑かれたように夢中になっていた。確かに子どもは夫婦にとっては重要なものだ。だけど、何もそこまで髪振り乱して取り組むほどのことでもないんじゃないかって、いつも疑問が俺の中にあったんだ」
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