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Tears【涙】~神様のくれた赤ん坊~
第4章 ♠RoundⅡ(哀しみという名の現実)♠
 直輝はそこで今度は大息をついた。
「だから、お前が夢中になって必死になればなるほど、俺の心は醒めたし、心の中の疑問も大きくなった。医者に指示された夜だけ、ただ義務のようにセックスするなんて、それじゃ、動物園の飼育動物か繁殖用の馬と同じだ。俺は何も種馬になりたくて、お前と結婚したわけじゃないって大声で叫びたかった」
 でも、お前の子どもを欲しいっていう気持ちも理解はできたから、黙ってたんだ。必死なお前をうっとうしいと思いながらも、可哀想で口にできなかった。
 しまいの呟きは、紗英子をこれ以上はないというくらいに打ちのめした。
 うっとうしいと思いながらも、可哀想―。
 そうなのか、自分はつまり、直輝に疎まれる一方で憐れまれてさえいたというのか。
 もう、何もかもおしまいだという気がしてならなかった。聞かなければ良かったのかもしれない。だが、それこそ夫婦二人だけで狭いマンションに暮らしているのだ。日中の殆どの時間、もちろん直輝は出勤していて留守ではあるけれど、会社は完全週休二日制で土、日曜は自宅にいる。
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