この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
濡れた視線(改定版)
第1章 魅せられて
梅雨が明けたばかりの7月中旬。心機一転、新たな根城での転居作業も取り敢えず目途が経ち、勇矢はシャワーを浴びた躰にバスタオルを腰巻にし、茜色に暮れる空をベランダ越しに望みながら、冷えた缶ビールを片手に感慨深い吐息を溢していた…。

建築設計を生業にして早10年。商業施設の空間デザインを得意とし、仕事絡みで知り合ったカフェの女性オーナーと意気投合し、5年もの交際期間を経ながら、価値感の相違から止む無く別れを決意し、男35歳にして失恋の痛手も負い、そんな想い出を払拭する意味でも、新たな環境が必要だった。

新居となる2階建てのマンションは赤煉瓦に覆われ、この界隈の大地主でもある大家の敷地内に建てられ、元はと云えば某国大使館の宿舎として活用され、数年前の移築時に併せ、大家によって集合住宅へと改築されたもの。

そのせいか天井までの開口も高く、浴室においては8畳敷きのゆったりしたスペースで設けられ、何より一番のお気に入りは南北ともに掃き出しサッシのベランダが備えてあり、風とうしが抜群なうえ、特に北面のベランダからは大家の屋敷に備わる美しい日本庭園が望め、四季折々の景観が期待できそうな手入れの行き届いた様相を見せ、やがて茜色の空が群青色の帳へと染まり始めると、勇也の携帯電話が俄かに高鳴り、通話に応じた相手が『箕田潤子』と名乗ると、即座に大家であることを理解していた。

『船本さん?船本勇矢様でしょうか?』  

『あ、はい船本です。大家様ですよね?管理会社のエステートより紹介を受けておりました。ご挨拶が遅れまして申し訳御座いません、明日ご挨拶に伺うつもりで居りました』

『ご挨拶だなんて、どうぞお気になさらず。今日から入居されることは管理会社の方から聞いておりました。こちらこそ宜しくお願い致します。早速ですが、船本さんが管理会社から預かっている部屋の鍵ですが、予備のスペアーキーは全室こちらで管理しております。もしも職場にお忘れになったり、紛失された際はご連絡下さいね?時間はどんなに遅い時間でも構いません。最後に、今船本さんの携帯に表示されている番号が私の携帯番号ですから、登録の方もお願いしますね?』

『ご丁寧にありがとうございます』と、勇矢は通話を終えると、携帯越しに深々と一礼をしていた。

/57ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ