この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
100万本の赤い薔薇
第5章 再会
長谷川は、結依からモカを受け取ると、
浴室に連れて入り、脚を洗ってタオルで拭いてやる。
手慣れたものだ。

それを見て、

「あれ?お父さんって、犬、ダメじゃなかった?」と結依が言った。


「モカちゃんは大丈夫!」と威張るように言うと、
モカは長谷川を蹴るようにして結依の方に小走りで向かう。


「なんだよ。男同士で仲良くって言ったのにな」と言うと、
結依と茉莉子が顔を見合わせて笑った。

茉莉子が少し、元気を取り戻しているようで、
結依もホッとした。


「今日はお買い物に行ってないから、
あり合わせのものと、残った素材のお料理になっちゃったわ」
と言いながら、茉莉子がお料理をカウンターに並べると、
長谷川がひょいひょいと運ぶ。
今夜は塗りの松花堂弁当のような四角い漆器に、
1人分ずつ美しく盛られたものが用意されていた。


「お父さん、家事とか手伝うんだね」
と、モカと遊びながら感心したように結依が言った。

「手伝うって、運んでるだけだぞ」と照れたように言った。


松花堂弁当の中には、
小鉢や小さなガラスの器も駆使して、
美しく常備菜が盛り付けられていた。

野菜が中心だが、西京焼きの魚なども入っている。
お椀の中には鷄のつくねが入っていて、
人参やサツマイモなどは紅葉や銀杏の形に整えられている。

お椀はどっしりした輪島塗で、手に持った時の感触に温かみがあった。

「結依ちゃんは最初からご飯よね。
長谷川さんは、ご飯は最後にされます?
昨日の会食でお土産に頂いた日本酒がありますから、
召し上がりますか?」
と言われて、長谷川は嬉しそうに頷いた。

「茉莉子も一緒に飲むか?」

「乾杯じゃなければ」と茉莉子は笑った。

結依には大振りなリーデルのグラスに、
冷たい麦茶を出して、
長谷川と自分用には、江戸切子の小さな盃とリーデルのグラスに入れた和らぎ水を出した。


「お父さん、毎日の茉莉子さんのお弁当がね、
こんな感じなんだよ。凄いんだから」
と、結依がまた、力説した。

「土日にね、常備菜を作り置きしておいて、
それを詰めてるだけなのよ」と、茉莉子が言う。

「毎日外食だから、本当に身体に染みるなぁ」と、
長谷川もしみじみ言った。

「明日は、食材を買い出しに行かないと、冷蔵庫空っぽなの。
それと結依ちゃんのお部屋作戦ね!」と茉莉子は言った。



/245ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ