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100万本の赤い薔薇
第5章 再会
「おっ!鍋物か。嬉しいな」と長谷川が言うので、
結依と茉莉子は心配そうに、
「これ、鍋物になってる?」と訊いた。

「私たち、鍋物って殆ど食べたことなくて、イメージで作ったの。
河豚料理のお店とかで食べたような気もするけど…」

「食材を土鍋にぶち込めば、
立派な鍋物だよ」と言って、食事を始めた。

「うん。美味しい!」
3人が声を揃えた。

最後にご飯少し入れて、
溶き卵を回し入れ、小口切りの浅葱を散らすと、
締めの卵雑炊になった。


「なんか、すごく幸せだな」と長谷川は言う。
3人とも、同じ気持ちだった。

終わった食器や鍋を長谷川が下げて洗う。
結依はモカと遊ぶ。
茉莉子は作業部屋に戻って何かをしている。

暫くすると、カーテンなどを手に茉莉子が部屋から出て来て、

「亮太さん、カーテン作ったけど、
私たちだと背が届かないから、手伝ってください」と言うので、
3人で下に降りて、結依の部屋にカーテンを設置する。

「これも作ったから」と、クッションカバーにクッションを詰めてベッドに置く。

「うん。女の子のお部屋っぽくなったわね」と、
茉莉子が嬉しそうに言った。

「そうそう、これも結依ちゃんがアイロン掛けてくれたのよ」と、
長谷川のハンカチを渡した。
一緒に、「これも」と言って、
フェイラーの大判のタオルハンカチを渡す。

「お洗濯とアイロン、間に合わない時は、
こっちのタオルハンカチ、使ってくださいね。
くしゃくしゃのハンカチはいただけないわ」
と、茉莉子が長谷川に母親のように言うので、
長谷川は頭を掻いた。

ワイシャツはクリーニング屋に持っていけば済むけど、
流石にハンカチは持っていけない。

皺が気になっては、その都度出先でハンカチを買ってしまうこともあった。


食後のコーヒーを飲みに長谷川と2人、茉莉子の部屋に戻った。
結依は、もう少し部屋のクローゼットを片付けするからと言った。

「茉莉子さんに綺麗な下着を沢山買って貰ったの。
お父さん、見る?」と言われて、
長谷川はどぎまぎしてしまう。

更に、由依はふざけた顔で、
「茉莉子さんとイチャイチャしてきなよ」と言うので、
「こらっ!お父さんを揶揄うなよ」と、軽くコツンと頭をされたが、
全く堪えているようには見えなかった。


「全く、女の子ってヤツは…」と頭を振りながら茉莉子の部屋に戻った。
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