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100万本の赤い薔薇
第5章 再会
水曜日になった。

茉莉子は1時にいつもの場所に行ったが、
待っていても健太は姿を見せなかった。

きっちり1時間待ってから会社に戻った。


携帯で連絡するべきか考えたが、
業務時間だろうし、
急な仕事が入ったのかもしれないと思った。
なんなら、そのまま、
会わなくなることもあるのかもしれない。


仕事を続けていると、携帯が鳴った。
見ると、公衆電話からなので、
慌てて電話を取った。


「もしもし?」

「あの…」

「拓人さん?拓人さんなのね?」

茉莉子は涙を拭くこともせずに、
電話を握り締めていた。

「携帯、取り上げられちゃって。
手紙は死守してたから。
通学も車だし、お金も待たされてないから、
友達に小銭借りたんだ」

思ったより拓人の声は落ち着いて低かった。

「会いたい。会って話を聞きたい。
家に行っても良いかな?」

「勿論よ。いつでも来て!
鍵は取り上げられなかったの?」

「大丈夫。手紙と一緒に生徒手帳に入れて手離さないようにしてたから。
鞄の中まで見られているとは、迂闊だった」
と、冷めた声で笑った。

「仕事で居なかったら、部屋に入ってて!
いつでも良いから!」

プープープー

電話が切れてしまった。
その後は、いくら待っても着信はなかった。



拓人は電話が切れるとその足で保健室に行き体調が悪いと嘘をつくと、
家からの迎えの車が来る前に学校を抜け出して、
友達に借りた小銭で茉莉子の住所の最寄駅に向かった。

マンションの前で、暗証番号が判らないことに気づいた。
周りを見廻しても公衆電話なんて無さそうだ。

「参ったな」と思わず呟いてしまう。

すると、後ろから、
「拓人くん?」と言う声がした。


コンクールの時に手紙を渡してくれた女の子だった。
確か、長谷川結依だっけ?


「茉莉子さんの処に来たの?」と言うと、
エントランスの暗証番号を打ち込んだ。

「茉莉子さん、いつも帰りは6時頃だよ」

一緒にエレベーターに乗ると、
3階と12階のボタンを押した。

「あの、どういう関係なんだよ?」

「えっ?私は3階の住人で、茉莉子さんは12階に住んでるの。
あと…」

「あと?」

「グランドピアノがあるから、練習させて貰ってるの。
着替えたら行っても良い?」

そういうと3階についたので、
結依はスタスタと降りて行った。

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