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100万本の赤い薔薇
第1章 いつも見てた
「食器くらい洗おうか?」
と言うが、
食洗機に入れるだけだから大丈夫と言われたので
リビングスペースのソファに座って、
真人は部屋の中をゆっくり見回した。


エントランスまで送ることはあったが、
部屋まで入ったのは初めてだった。
室内は白が基調で、シンプルというより、
シンプル過ぎる部屋で、
女性らしさは感じられないことに、少し違和感を覚えた。


「あ、ピアノがあるのか。弾いても良いかな?」
と言いながら、勝手に弾き始める。


「まこちゃん、ピアノ上手いものね」
と茉莉子は言うが、
真人自身は茉莉子の弾く音色の方が好きだった。



しばらく奥の方に消えていた茉莉子が、
洗濯物を手にリビングに戻ってくる。

「乾燥機だと時間が掛かりそうだから、
アイロンで乾かしちゃった」


「その着替え、ここに置いておいてよ。
また、来るかもしれないしさ。
ほら、男物の着替えとかあったら、
なんか防犯にならない?」

と、真人がピアノを弾きながら言うが、
茉莉子は笑いながら首を振って、
真人のカバンの上にそっと乾いた着替えを置いた。


「茉莉子も、何か弾いてよ」


ピアノに向かって少し考えると、
静かにジャズのスタンダードナンバーを弾き出した。
そして、小さな声で歌う。

オータム・イン・ニューヨーク


明日から出張でニューヨークに旅立つ真人にぴったりの曲。
演奏が終わってからも、
少し心が何処かに行ってしまったような気持ちになってしまった真人は、
気を取り直したように、少し戯けて言った。



「お土産は何が良い?
ティファニーかな?」


茉莉子は笑いながら首を横に振る。


「欲しいものなんて、何もないよ。
それに、ほら、まこちゃんからは、
この子を貰ったじゃない?
私が独りぼっちでどうにかならないようにって、
わざわざこの子を連れてきてくれたんでしょ?」


「いやいやいや。違うよ。
可愛くて一目惚れして買ったけど、
よく考えたら、夜は遅いし、帰れないことあるし、
出張もあるし、散歩も行けないから、
茉莉子のトコに養子に出しただけだよ」


真人はそう言って、
モカを抱き上げようとするが、
モカは少し唸りながら牙を剥く。


「何だよ。俺がご主人様だったのにな。
まあ、良いか。
おい、モカ。
お前はオトコなんだから、
ちゃんと俺の居ない時も姫様を護るんだぞ」
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