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100万本の赤い薔薇
第6章 嵐の夜
拓人の話を遮り、
「書面を取り急ぎ作成してくるよ」と言って佐々木弁護士が席を外した。
2人きりになると、拓人は茉莉子に言った。
「お母様は私よとあのオバさんに言われたけど、
そんなこと信じなかった。
そう言うと今度は、死ぬ程殴ったり鞭で叩いて、
その後、舐めるように可愛がって、
今度はお母様は死んだと言った。
それも信じなかったら、
僕を捨てて出て行ったのよと言ったんだ。
そうなのかな?と苦しんでいたこともあった。
あのオバさんに言われて、
お父様が僕を鞭で叩くこともあった。
でも、いつも少しでも痛くないようにとしてくれてたよ。
それに気づくと、あのオバさんが鞭を取り上げて、
もっと酷く叩いたけどね」
茉莉子は青ざめて涙を流す。
「でもね、その後お父様が、治療をしながら言ってたんだ。
自分は弱い人間だ。
お母様は純粋でとても可愛い人だったのに、
それにつけ込むようなことをしてしまった。
とても、卑怯で卑劣なことを…。
姉の言いなりになって、護ることも出来なかった。
優しい言葉も掛けれなかったけど、
本当に心も身体も美しい人だったんだよ。
それなのに、姉に言われるまま、
散々酷いことをして、
お金と地位を盾に拓人を渡さず追い出したようなものだ。
自分はこれからも姉の言いなりだ。
何も出来ないだろう。
だから、拓人がお母様を護ってくれ。
そう言ったんだ」
「そんな…」
「お母様は、何をされたかは、話さなくて良いよ。
気を失うくらいのことをされたのは判ったから。
でも、お母様が僕のことを想って、愛してくれてるのは感じてる。
もしかしたら、お父様だって、
本当はお母様のこと…」
拓人は言葉を飲み込んだ。
そうだ。
酷いことをされて、お母様は自分を産んだ。
それでもお母様は愛してくれている。
お父様がお母様のことを少しも愛してなかったのなら、
自分が産まれてくる意味も、自分の価値もないじゃないか。
カタチは歪だったとしても、
お母様のことを愛していた。
そう思いたかった。
「久々に自分で書面を書いたよ」と笑いながら佐々木弁護士が戻ってきた。
「書面を取り急ぎ作成してくるよ」と言って佐々木弁護士が席を外した。
2人きりになると、拓人は茉莉子に言った。
「お母様は私よとあのオバさんに言われたけど、
そんなこと信じなかった。
そう言うと今度は、死ぬ程殴ったり鞭で叩いて、
その後、舐めるように可愛がって、
今度はお母様は死んだと言った。
それも信じなかったら、
僕を捨てて出て行ったのよと言ったんだ。
そうなのかな?と苦しんでいたこともあった。
あのオバさんに言われて、
お父様が僕を鞭で叩くこともあった。
でも、いつも少しでも痛くないようにとしてくれてたよ。
それに気づくと、あのオバさんが鞭を取り上げて、
もっと酷く叩いたけどね」
茉莉子は青ざめて涙を流す。
「でもね、その後お父様が、治療をしながら言ってたんだ。
自分は弱い人間だ。
お母様は純粋でとても可愛い人だったのに、
それにつけ込むようなことをしてしまった。
とても、卑怯で卑劣なことを…。
姉の言いなりになって、護ることも出来なかった。
優しい言葉も掛けれなかったけど、
本当に心も身体も美しい人だったんだよ。
それなのに、姉に言われるまま、
散々酷いことをして、
お金と地位を盾に拓人を渡さず追い出したようなものだ。
自分はこれからも姉の言いなりだ。
何も出来ないだろう。
だから、拓人がお母様を護ってくれ。
そう言ったんだ」
「そんな…」
「お母様は、何をされたかは、話さなくて良いよ。
気を失うくらいのことをされたのは判ったから。
でも、お母様が僕のことを想って、愛してくれてるのは感じてる。
もしかしたら、お父様だって、
本当はお母様のこと…」
拓人は言葉を飲み込んだ。
そうだ。
酷いことをされて、お母様は自分を産んだ。
それでもお母様は愛してくれている。
お父様がお母様のことを少しも愛してなかったのなら、
自分が産まれてくる意味も、自分の価値もないじゃないか。
カタチは歪だったとしても、
お母様のことを愛していた。
そう思いたかった。
「久々に自分で書面を書いたよ」と笑いながら佐々木弁護士が戻ってきた。