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100万本の赤い薔薇
第6章 嵐の夜
4人と1匹で、のんびり散歩を楽しんだ。
途中で食材もいくつか買った。
スーパーに入る時は、男同士がモカとカフェで待たされて、
茉莉子と結依は嬉しそうに買い物していた。


「あのさ、拓人って呼び捨てにしても良いかな?」
と、長谷川が訊いた。

「別に良いですよ。
でも、僕、まだお父さんとは呼びませんから」と続けた。

コーヒーを吹き出しそうになったのを見て、

「長谷川さんて、判りやすいですね。
結依も…」

「単純じゃないこともある。
結依にもな。
まあ、追々話すよ。
今、話しても頭がパンクするといけないし、
まずは拓人の親権取るのをクリアしてからだな」

拓人は黙り込んだ。

「どこまで知ってるんだ?
父親と茉莉子のこと」

「えっ?」

「俺も全部知ってる訳ではない。
茉莉子があまりにも辛そうで、
とても聞けなかったしな」

「父とその姉が男女の関係だってこと。
父が無理矢理母を妊娠させて産まれたのが僕だってことは知ってる」

と暗い目をして言った。


長谷川は、
「一番大事なことが抜けてるな。
茉莉子は、拓人のことが何よりも大切で、
ずっと取り戻したいと思ってきたんだ。
もしかしたら、拓人を置き去りにして自分だけ逃げたという罪悪感も持っているかもしれない」


拓人は顔を上げると正面から長谷川の目を見て言った。

「置き去りだなんて。
あんなに酷いことされて、
むしろ追い出されたと思ってる。
これからは僕がお母様を護る。
長谷川さんがお母様を泣かすようなことをしたら、
絶対に許さない」

「怖い目をするな。
俺は、そんな拓人ごと、
茉莉子を包み込んで護るよ。
勿論、結依もな」

そう言って笑った。

「ほら、モカちゃんも護るって言ってるよ。
男は男同士だからな」と、
長谷川はモカを抱き上げて撫でた。


「凄い大荷物で戻ってきたぞ。
ほら、騎士として護るんだろ。
荷物運んでこい」
と、拓人を促した。

長谷川もモカを抱き上げたまま、立ち上がった。
もう、痛みは殆どなく、
違和感も少なくなってきた。
あとは…ちゃんと勃って出せるのかという問題だけだと思った。
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