この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
100万本の赤い薔薇
第6章 嵐の夜
結依と別れた茉莉子は、カルティエに向かった。
店内を見渡すと、見知った顔を見つけて、
フランス語で話し掛けた。
パリに滞在していた頃に本店で接客してくれた男性だった。
懐かしそうにひとしきり話をしてから、
自分の手首を見せて、
お返しに同じものをプレゼントしたいので…と恥ずかしそうに伝えた。
大袈裟なゼスチャーをしながら、
VIP用の小部屋に通すと、
3色、太さも幾つかあるブレスレットを並べた。
肌の色や、普段使っている時計の色、
手首の太さを思い浮かべて、
自分と同じ色で太いタイプのものを選んだ。
「こんなエレガントなマダムを射止めるとは、
お幸せな男性だ」と言いながら、
女性スタッフにラッピングを依頼した。
「まだ結婚は…単に結婚を前提にお付き合いを申し込まれただけなのよ」と言うと、
「では、エンゲージリングと結婚指輪は、是非、ご一緒にご来店くださいね!
あと1年はこちらの店舗におりますので」と、
名刺を渡された。
「ありがとうございます」
赤い小さな紙袋を受け取り立ち上がると、
両頬にキスの挨拶を受けた。
手を引かれて、姫のように専用のエレベーターで降りると、
他のスタッフも恭しくお辞儀をする。
「まあ、ジャン・ピエール、恥ずかしいわ」と言うと、
恭しく手の甲にキスを落として、
ドアマンにドアを開けさせた。
「お待ちしてますよ」
と丁寧なお辞儀で送り出された。
帰宅すると、結依がグランドピアノを弾き、
拓人がダイニングテーブルで勉強をしていた。
「あら?亮太さんは?」と訊くと、
下の部屋で仕事をしているみたいだと結依が答えた。
茉莉子は部屋着に着替えて、うがいと手洗いをすると、
「お腹空いてない?美容室行ってたからランチの時間、過ぎちゃったわね」と訊いた。
「ちょっと腹減った」と拓人が言ったので、
何かすぐに出来るものを…と考えて、
茉莉子は急に嬉しそうな顔をすると、
食材を切り始めてアウトドア用のお皿に並べた。
ベランダに出ると、テラスの床に割れたマグカップが落ちたままになっていたので、
それを丁寧に片付けてから、
バーベキューコンロをセットする。
部屋に戻って、テーブルクロスを掛ける。
飲み物もたっぷり用意すると、
携帯で長谷川に、
「遅くなりましたが、ランチの支度出来ましたよ」と伝えた。
店内を見渡すと、見知った顔を見つけて、
フランス語で話し掛けた。
パリに滞在していた頃に本店で接客してくれた男性だった。
懐かしそうにひとしきり話をしてから、
自分の手首を見せて、
お返しに同じものをプレゼントしたいので…と恥ずかしそうに伝えた。
大袈裟なゼスチャーをしながら、
VIP用の小部屋に通すと、
3色、太さも幾つかあるブレスレットを並べた。
肌の色や、普段使っている時計の色、
手首の太さを思い浮かべて、
自分と同じ色で太いタイプのものを選んだ。
「こんなエレガントなマダムを射止めるとは、
お幸せな男性だ」と言いながら、
女性スタッフにラッピングを依頼した。
「まだ結婚は…単に結婚を前提にお付き合いを申し込まれただけなのよ」と言うと、
「では、エンゲージリングと結婚指輪は、是非、ご一緒にご来店くださいね!
あと1年はこちらの店舗におりますので」と、
名刺を渡された。
「ありがとうございます」
赤い小さな紙袋を受け取り立ち上がると、
両頬にキスの挨拶を受けた。
手を引かれて、姫のように専用のエレベーターで降りると、
他のスタッフも恭しくお辞儀をする。
「まあ、ジャン・ピエール、恥ずかしいわ」と言うと、
恭しく手の甲にキスを落として、
ドアマンにドアを開けさせた。
「お待ちしてますよ」
と丁寧なお辞儀で送り出された。
帰宅すると、結依がグランドピアノを弾き、
拓人がダイニングテーブルで勉強をしていた。
「あら?亮太さんは?」と訊くと、
下の部屋で仕事をしているみたいだと結依が答えた。
茉莉子は部屋着に着替えて、うがいと手洗いをすると、
「お腹空いてない?美容室行ってたからランチの時間、過ぎちゃったわね」と訊いた。
「ちょっと腹減った」と拓人が言ったので、
何かすぐに出来るものを…と考えて、
茉莉子は急に嬉しそうな顔をすると、
食材を切り始めてアウトドア用のお皿に並べた。
ベランダに出ると、テラスの床に割れたマグカップが落ちたままになっていたので、
それを丁寧に片付けてから、
バーベキューコンロをセットする。
部屋に戻って、テーブルクロスを掛ける。
飲み物もたっぷり用意すると、
携帯で長谷川に、
「遅くなりましたが、ランチの支度出来ましたよ」と伝えた。