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100万本の赤い薔薇
第6章 嵐の夜
茉莉子はお皿を運ぶよう、2人に手伝わせる。

「ベランダで食べましょう」と、
プチバーベキューのランチになった。

野菜や肉、シーフードを焼いたり、
隣にはスモーカーもセットされてる。

長谷川は体調のせいなのか、まだ仕事なのか判らないがアルコールは要らないと言ったので、
全員で自家製のレモネードを飲んだ。

「こんなの初めて!!」と、結依が大はしゃぎする。

デザートではパイナップルを焼いた。

「簡単だけど、美味しかったわね」と、茉莉子がニコニコして言った。

「火起こしとかは山登りで慣れてるから、次回が俺がやるから。
あ、拓人にも教える。
これは男の仕事だ!」と言うのを聞いて、

「男の仕事だとか言っちゃって。
肝心な時に居ないくせに」と結依が言うと、

「そ、それは…」と長谷川がしゅんとするので、

「良いじゃない。やれる時に、出来る人がすれば良いのよ」と、茉莉子がまとめた。


このまま、のんびりベランダで過ごそうかとなり、
結依が拓人に教えながらマシンでコーヒーを淹れて運んだ。
ミルクたっぷりのカフェオレで、
長谷川だけはアメリカンのブラックにした。


「結依ちゃん、通学は大丈夫?辛くない?」

「座れるから大丈夫。拓人くんの方が都内の移動でラッシュなんじゃない?」

「早く出てるから平気。朝練あるし」

「朝練?」

「弓道部」

「だから結構胸板厚いのか」と長谷川が拓人の胸をぽんぽん触った。

「セクハラ親父かよ。
ほら、指を怪我したくないから、
接触プレイの部活は避けると、そうなった」と言った。

「結依ちゃんは?」

「テニス部だったけど、夏の試合で引退しちゃった。
ピアノ弾く時間、確保したかったし」

「結依ちゃん、もっと本格的にピアノやってみるなら、
知ってる先生のとこに連れて行くわよ。
凄く厳しいけどね。
私は辛くて辞めちゃったの」と、舌を出して笑った。

「厳しいって?
手を叩かれるとか?」

「そんなことはないわよ。
でもね、全てをピアノに捧げてるような先生だから、
演奏には本当に厳しいの」

「私なんかで、大丈夫かな?」

「それは、判らないわ。
でもね、結依ちゃん次第だから」

「行ってみたい」

「じゃあ、ご連絡してみるわね。
お年だから、新しくお弟子さんを取ってくださるかしら?」
と首を傾げた。
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