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100万本の赤い薔薇
第6章 嵐の夜
新しい1週間が始まった。

朝は全員一緒に駅に向かった。
お弁当が4つに増えた。
拓人と結依には、それぞれ朝練の後や電車で食べれるお握りやサンドイッチとお弁当の組み合わせになり、
自分用にも作っていた。

長谷川が子供のように、
「良いな。俺の分も欲しい」と言うので、
炊飯器が役に立った。

穏やかな日が続いた。
朝、慌ただしいからと勧めて、
結依が茉莉子の部屋に泊まる日が増えた。

長谷川だけは、仕事で遅くて悪いからと言って、
夜食を済ますと階下に降りる。

「お父さんてば、仕事ばっかり。
それとも私たちに遠慮してるのかな?」と拓人に言った。


長谷川にしてみると、
まだうまく勃つか自信もないし、
確かに子供たちが居る処で茉莉子を抱くことに対して躊躇いもあった。
それに、茉莉子にしても、拓人の親権が確定しないと落ち着かないだろうとも思っていたからだ。

週の終わりに、裁判所からの通知が来た。
翌週の水曜日に調停で家裁に出向くことになった。


家裁の調停は弁護士同伴で、別々の部屋で聴き取りをすることから始まった。
拓人も落ち着いて淡々と話をするが、
父親とその姉の話をする時と、
2人から鞭で叩かれた話をする時は、
茉莉子が余りにも辛そうな顔をするので躊躇した。

それに気づいて、佐々木弁護士が、
「この話は、茉莉子さん、離席した方が良いんじゃないかな」と言い、
外廊下に出ることになった。

暫く茉莉子は目を閉じて吐き気と眩暈に耐えていた。

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