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100万本の赤い薔薇
第6章 嵐の夜
警察官が、
「状況を伺いたいのですが?」と茉莉子を引き留めたので、
見兼ねた佐々木弁護士が、
「たった今、元夫が子供も居る目の前で刺されたんだぞ。
刺したのは元夫の実の姉で自殺を謀った。
いい加減にしろ!
とにかく、一度休ませてあげなさい」と言い、
自分のバーバリーのコートを茉莉子に掛けると、
拓人に託して「茉莉子さんを医務室で休ませなさい」と言った。
女性の調査官が付き添って先導した。
そして、相手側の弁護士に、
「申し訳ないけど、救急車に付き添ってください。
後で調書の件もあるから、警察と私、裁判所側にも念の為名刺を」と言った。
残った人間は、警察官に状況説明をしたが、
とにかく、裁判所内で殺人未遂という前代未聞な出来事なので、
緘口令が敷かれることとなった。
茉莉子が言った通り、良子はその場で死亡が確認された。
そして、茉莉子、あるいは拓人を刺そうとしたところを被疑者の弟が庇って刺してしまったことと、
被疑者は自ら首を切って出血多量で亡くなったことは事実認定された。
そして、皆が声を揃えて、
その後の茉莉子の冷静で毅然とした態度に感銘を受けたとも言った。
一方、元夫も、意識不明の重体だった。
脇腹から達した刃は重要な臓器に至る状況だった。
そして、意識が戻ることのないまま、数時間後に息を引き取ったのは、その後の話だ。
警察は、被疑者死亡のまま、殺人未遂から殺人に切り替え捜査をしたが、この事件が公になることはなかった。
拓人は、茉莉子のバッグから携帯を取りだす。
暗証番号は…いくつか押してみると、自分の誕生日になっていた。
長谷川にすぐに電話をした。
すぐに電話に出た長谷川に、言葉を詰まらせながら言った。
「すぐに裁判所に来て!
お母様が…お母様が…」
それ以上、言葉が続かない。
「何かあったんだな?
茉莉子は無事なのか?」
「うん」
「判った。すぐ行くから。
拓人、到着するまで、茉莉子を頼んだぞ。
15分で行くから!」
拓人は、茉莉子に縋りつきながらひたすら泣いていた。
「状況を伺いたいのですが?」と茉莉子を引き留めたので、
見兼ねた佐々木弁護士が、
「たった今、元夫が子供も居る目の前で刺されたんだぞ。
刺したのは元夫の実の姉で自殺を謀った。
いい加減にしろ!
とにかく、一度休ませてあげなさい」と言い、
自分のバーバリーのコートを茉莉子に掛けると、
拓人に託して「茉莉子さんを医務室で休ませなさい」と言った。
女性の調査官が付き添って先導した。
そして、相手側の弁護士に、
「申し訳ないけど、救急車に付き添ってください。
後で調書の件もあるから、警察と私、裁判所側にも念の為名刺を」と言った。
残った人間は、警察官に状況説明をしたが、
とにかく、裁判所内で殺人未遂という前代未聞な出来事なので、
緘口令が敷かれることとなった。
茉莉子が言った通り、良子はその場で死亡が確認された。
そして、茉莉子、あるいは拓人を刺そうとしたところを被疑者の弟が庇って刺してしまったことと、
被疑者は自ら首を切って出血多量で亡くなったことは事実認定された。
そして、皆が声を揃えて、
その後の茉莉子の冷静で毅然とした態度に感銘を受けたとも言った。
一方、元夫も、意識不明の重体だった。
脇腹から達した刃は重要な臓器に至る状況だった。
そして、意識が戻ることのないまま、数時間後に息を引き取ったのは、その後の話だ。
警察は、被疑者死亡のまま、殺人未遂から殺人に切り替え捜査をしたが、この事件が公になることはなかった。
拓人は、茉莉子のバッグから携帯を取りだす。
暗証番号は…いくつか押してみると、自分の誕生日になっていた。
長谷川にすぐに電話をした。
すぐに電話に出た長谷川に、言葉を詰まらせながら言った。
「すぐに裁判所に来て!
お母様が…お母様が…」
それ以上、言葉が続かない。
「何かあったんだな?
茉莉子は無事なのか?」
「うん」
「判った。すぐ行くから。
拓人、到着するまで、茉莉子を頼んだぞ。
15分で行くから!」
拓人は、茉莉子に縋りつきながらひたすら泣いていた。