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100万本の赤い薔薇
第6章 嵐の夜
佐々木弁護士のコートを羽織った茉莉子を挟みながら、3人は寄り添うようにタクシーに乗った。

帰宅すると、長谷川はバスタブにお湯を張りながら、
茉莉子を浴室に連れて行った。
服にも顔や手足、爪の中まで血が付着していた。
髪も血で固まっていた。

長谷川も服を脱ぐと、
温めに設定してからシャワーのお湯をゆっくりと茉莉子にかけた。
茉莉子は目は開けているけど、まるで人形のようだった。

身体も髪も丁寧に2回洗った。
爪の中は中々綺麗にならず、
洗面所から新しい歯ブラシを取ってきて、それで洗った。

バスタブにそっと入れると、自分も身体を洗って一緒に入った。
血液の匂いが残っているような気がして、
シャワーは出しっ放しにしつつ、
バスタブには薔薇の香りの入浴剤を入れてみた。


茉莉子を後ろから抱き締めるようにして、
じっとしていると、
茉莉子が肩を震わせて泣いているのに気づいた。

長谷川は黙って茉莉子を抱き締めて、涙を拭った。

「ベッドで少し眠ると良いな」

そう言って、バスタブから茉莉子を出して、棚からバスローブを取り出して着せる。
棚に下着やパジャマもあったが、上手く着せることも出来ないなと思った。
自分はバスタオルを腰に巻いて、茉莉子を抱き上げてベッドに運んで、
そっと額にキスすると、
ブランケットを掛けた。


浴室に戻ると、茉莉子がやってたように、
バスタブの湯を抜いてから、シャワーで浴室全体を流して、
中を腰に巻いていたバスタオルで拭いて、
洗濯機にタオルは入れた。

茉莉子の髪を乾かしてやるのを忘れてたなと思いながら、
脱がせたものを確認した。
どれも血だらけで、ワンピースの腰の辺りは、
切られたような痕もあった。

ひょいと拓人が覗き込む。

「ちょっと、パンツくらい履いてよ」

「拓人、キッチンの棚からゴミ袋持ってきて」
気にせず言うと、
ゴミ袋に茉莉子が着ていたワンピースや下着を入れ始める。

「見る度に思い出すだろうから、これは捨てよう。
拓人は大丈夫か?
血液とかついて気持ち悪いだろうからシャワー浴びなさい」

「うん」

「洗ってやろうか?」

「良いよ。セクハラ親父みたいだな」

「これ、先に下のゴミ箱に入れてから、着替えてくる。
スーツにも血がついてるし、
血の匂いとかで茉莉子、具合が悪くなるといけないから」
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