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100万本の赤い薔薇
第6章 嵐の夜
嵐のような日が終わった。

茉莉子はタクシーで長谷川に抱き締められながら家に向かった。
そして、帰宅すると拓人に告げた。


「お父様は亡くなりました。
拓人さんはお見送りする?」

「絶対に、嫌だ」

「後悔しない?」

「するわけがない」

「判りました。
では、私が見送ってきます」

結依は事情が判らずオロオロしたような顔をするが、
拓人は自室に籠ってしまった。


翌日、長谷川が、
仕事を休んで同行しようかと何度も言うが、
静かに笑って、
「大丈夫です」と繰り返し、
「今日は斎場近くのホテルに泊まりますので、
拓人さんと結依ちゃん、それにモカちゃんをお願いしますね」と言った。

喪服を一式専用のバッグに入れて、
いつもより大きいバーキンを持って家を出た。
近くの百貨店に寄ると、
バーバリーでコートを求めた。
そして、大急ぎでとお願いをして、
ネームの刺繍を入れてもらった。

通夜には、
初老の弁護士と葬儀会社の担当者しか居なかった。
告別式には、
佐々木弁護士と家裁で茉莉子を医務室に連れて行ってくれた女性の調査官が参列した。


遺骨を拾う時は佐々木弁護士が手伝ってくれた。

「本当は、拓人さんに拾って貰いたかったでしょうに…
説得出来なくて…」と力なく言った。

「あんなことされたんだから、
茉莉子ちゃんが出てくれるだけでも…」
と、佐々木弁護士は涙ぐむ。

そして、
「なんでも力になるから、いつでもいらっしゃい」
と言い添えた。


見送りながら、
「あの、これを。
おじさまのコート、血痕だらけで落ちそうになかったので、
同じサイズで同じお色と形のものを」
と、佐々木弁護士に渡した。

「茉莉子ちゃん、そんな…」と言いながら、
「じゃあ、茉莉子ちゃんからのプレゼントと思って、
大切に着るよ」と言って笑った。


家裁の調査官の女性も、
「ご立派でしたわ。
これからはどうぞ、ご子息様とお幸せに」と手を握った。


2人を見送ると、茉莉子は葬儀会社の担当者に謝礼の袋を渡し、
この後の寺への納骨などの指示を出した。
遺骨も何もかも、拓人の元には持って帰れないと思い、
全て任せることとした。

そして、初老の弁護士にもお車代を渡した。

弁護士は、
「手続きなどもあるから、早い方が良ければ月曜日にでもお越しください」と言いながらタクシーに乗り込んだ。


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