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100万本の赤い薔薇
第6章 嵐の夜
「みんなに報告しておきますね。
拓人さんのお父様のお通夜と葬儀告別式も今日済ませました。
納骨諸々はお寺にお願いしたので、今後、何かをすることはありません」

長谷川は、テーブル越しに茉莉子の手を握った。


「お姉様は…検死もあるからまだ戻らないけど…
拓人さんを刺そうとしたことは許せないので、
ご遺体の引き取りや葬儀などをするつもりはありません」


「良いんじゃない?
お父様のことだって、本当にお人好しだと…」


「拓人さん。
お父様が私たちにしたことは、本当に今でも酷いことだとは思うわ。でもね、最期は私たちを護ろうとして、
身代わりに刺されたことは事実だわ。
そして、お父様にもお父様なりに、
何かご事情があったのかもしれないと思ったの。
裁判所で意識を失う前に、
確かに私に心からの謝罪の言葉を…
それに、愛して…」
そこまで言うが、言葉が続かなかった。


長谷川は立ち上がって茉莉子を抱き締めた。
隣の拓人も、茉莉子の手を握った。


「えっ?何?
話が見えないんですけど?」と結依が言うので、

「後で話してやるよ」と拓人が言った。


茉莉子は涙がおさまると、自分の寝室に戻って赤い小さな紙袋を手に戻った。
まだふらついているので、ソファに座らせると、
茉莉子は長谷川の腕を掴んだまま、

「隣に座ってください。
立ってられなくて…」と言った。


茉莉子は、袋の中の赤い小箱を開けて、
ブレスレットを取り出した。

長谷川の左手を取ると、

「結依ちゃん、拓人さんも見てて。
亮太さん、私からお願いです。
結依ちゃんと拓人さんが認めてくれるなら、
私たち、1つの家族になりたいです。
今すぐじゃなくて良いの。
ゆっくりで良いの。
その約束をいつも感じていたいから、
このブレスレットで亮太さんを縛りたいです」

長谷川は耳まで赤くなっている。

「ほら、お父さん、返事は?」と、結依が揶揄うように言う。


「嫌だ」
長谷川は言った。

「えっ?」
と結依が耳を疑った。

「今、すぐ、家族になりたい。
今回も、他人だから、
茉莉子のことも、拓人のことも何もしてやれなかった。
だから…」


「いいえ。
居てくださるだけで、私は安心だった。
昨日も今日もきちんと役目を果たせたのは、
亮太さんが子供たちと、ここで待っていてくれたからよ」

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