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100万本の赤い薔薇
第7章 もう一つの嵐
「さて、後は…
さっき話に出てた私の母に報告したいわ。
取り敢えず家に帰りましょうか?」と言った。


キッチンでカフェオレを2つ淹れると、
ダイニングテーブルに座った。


「私の父、拓人さんのお祖父様は、
7年前に癌で亡くなったの。
最期まで拓人さんに会いたがっていたわ。
そして、母は…拓人さんのお祖母様は、
その後再婚して、今はニューヨークに住んでいるの。
相手は、私のヴァイオリンの先生だったフランス人だけど、
仕事の関係で今はニューヨーク。
時差があるから、夜、遅くに連絡しましょうね」


「あのさ、結依と長谷川さんて、なんかあるの?」と、急に拓人が訊いた。

「よく分かんないけど。なんか気になることを言ってたことがあったからさ」


「私が亮太さんから聞いていることはあるけど、
きっと本人から聞いた方が良いと思うの。
結依ちゃんとは、その話、直接してないから、
結依ちゃんサイドからの話は聞いてないし。
拓人さんだって、自分のことを、
勝手に自分が居ないところで話されるのも嫌でしょ?」と言った。

確かにその通りだと思った。
今度、長谷川に訊いてみようと思った。

「結依ちゃんにもね、拓人さんのこと、あちらの家のこと、
私がされたこと、話してないわ。
頭が良い子だから、薄々察してることもあるかもしれないけど、
色々な話は、
相手が聞きたいと言った時に、
そして自分が話しても良いと思った時にお話しすれば良いと思うの」と付け加えた。


「亮太さんは、素直な人だから、
拓人さんが訊いたらきちんと話してくれると思うわ。
私が知らないことも話すかもよ」と笑った。


結依が帰ってきた。

「手を洗ってうがいしてきて。
おやつあるわよ」と言って、キッチンに立つと、

「拓人さん、結依ちゃんのカフェオレ淹れてくれる?
私はパイを切るから」と言って、
自家製のアップルパイを切った。


「凄い!手作りのおやつだ!!」と、
結依が物凄く喜んだ。

「これは、お料理が下手だった私の母がね、
唯一上手だったアップルパイのレシピなの」と言った。

「夕食は何にしようかしら?
リクエストしてくれた方が有難いわ」と言うので、
結依と拓人が、あれこれ言い合っているのを、笑いながら見ていた。


そして、夜遅くに国際電話で母親に拓人のことと再婚のことを話すととても喜んでくれた。
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