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100万本の赤い薔薇
第8章 新しい息吹き
「俺と結依の話からしようか」と言って、長谷川は話を始めた。
「俺と元妻の陽子は同じ高校の先輩後輩だった。
大学院を出て社会人になってから付き合ってはいて、妊娠したと言われて結婚することになった。
そして披露宴の司会を、陽子の放送部時代の後輩だった茉莉子がしてくれて、その時のことは、今でも覚えているほど清楚で感じが良かったんだ」
そう言って長谷川は手帳に挟んであるその頃の茉莉子の写真を見せた。
司会をしている真剣な顔
何かを言われたのかはにかんだように微笑む顔
誰かと楽しそうに笑う顔
どれも今よりは若いが、今と変わらず茉莉子らしい美しい顔だった。
「茉莉子さん、若い時もすごく可愛くて綺麗だね!」
と、感心したように結依は呟いた。
「この時、茉莉子は大学4年の夏だったんだ」と言いながら、拓人を見て長谷川は頷いて続けた。
「残念ながら、この結婚は最初から上手くいってなかった。
結依が産まれたことはとっても嬉しかったし、可愛くて護っていこうと思ってたけど、陽子はそんな感じではなかった。
俺が仕事で忙しかったこともあったとは思うが、
後から訊いたら、近くに住む自分の母親に結依を任せっ放しで外を出歩いてたそうだ。
本当に結依には寂しい思いをさせてしまった」
長谷川は結依の手を握って頭を下げた。
「良いんだよ。お父さんが私の為に仕事してくれてたの、判ってた。
高い月謝のかかるピアノとか色々なお稽古事に行かせてくれて、
仕事休んで受験にも付き合ってくれて、
学校行事も毎回、駆け付けてくれてたもん」
長谷川は涙ぐみながら続けた。
「途中、正直浮気もしてた。
浮気って言っても、なんていうか…
生理的な問題で、どうしてもってことが…」
「良いよ。詳しく言わなくて。
ヤリたくなることがあるってことでしょ?
結依も判るよな?
あ、女には判んないのかな?」
と、拓人が言うと、長谷川は苦笑した。
「まあ、そう言うことだ。
だから、言葉は悪いけど1回だけのその場限りの関係の女と寝たことがあった。
それがバレてしまって…」
「まあ、長谷川さん、判りやすいからね」
「陽子が激怒して、判るかな?
パイプカットっていう手術をさせられたんだ。
子供が出来なくなるようにする手術だよ」
「俺と元妻の陽子は同じ高校の先輩後輩だった。
大学院を出て社会人になってから付き合ってはいて、妊娠したと言われて結婚することになった。
そして披露宴の司会を、陽子の放送部時代の後輩だった茉莉子がしてくれて、その時のことは、今でも覚えているほど清楚で感じが良かったんだ」
そう言って長谷川は手帳に挟んであるその頃の茉莉子の写真を見せた。
司会をしている真剣な顔
何かを言われたのかはにかんだように微笑む顔
誰かと楽しそうに笑う顔
どれも今よりは若いが、今と変わらず茉莉子らしい美しい顔だった。
「茉莉子さん、若い時もすごく可愛くて綺麗だね!」
と、感心したように結依は呟いた。
「この時、茉莉子は大学4年の夏だったんだ」と言いながら、拓人を見て長谷川は頷いて続けた。
「残念ながら、この結婚は最初から上手くいってなかった。
結依が産まれたことはとっても嬉しかったし、可愛くて護っていこうと思ってたけど、陽子はそんな感じではなかった。
俺が仕事で忙しかったこともあったとは思うが、
後から訊いたら、近くに住む自分の母親に結依を任せっ放しで外を出歩いてたそうだ。
本当に結依には寂しい思いをさせてしまった」
長谷川は結依の手を握って頭を下げた。
「良いんだよ。お父さんが私の為に仕事してくれてたの、判ってた。
高い月謝のかかるピアノとか色々なお稽古事に行かせてくれて、
仕事休んで受験にも付き合ってくれて、
学校行事も毎回、駆け付けてくれてたもん」
長谷川は涙ぐみながら続けた。
「途中、正直浮気もしてた。
浮気って言っても、なんていうか…
生理的な問題で、どうしてもってことが…」
「良いよ。詳しく言わなくて。
ヤリたくなることがあるってことでしょ?
結依も判るよな?
あ、女には判んないのかな?」
と、拓人が言うと、長谷川は苦笑した。
「まあ、そう言うことだ。
だから、言葉は悪いけど1回だけのその場限りの関係の女と寝たことがあった。
それがバレてしまって…」
「まあ、長谷川さん、判りやすいからね」
「陽子が激怒して、判るかな?
パイプカットっていう手術をさせられたんだ。
子供が出来なくなるようにする手術だよ」