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100万本の赤い薔薇
第10章 華燭の祭典
そして、健太は、
結婚式のことは知らされたが、
とても顔は出せないと思っていた。


その代わりに…と、作品製作に没頭していた。


コンペに通る、通らないとかは、
もうどうでも良かった。

とにかく、
この絵を完成させて、茉莉子に贈ろうと思っていた。


仕事は辞められないし、
母親の店も手伝ってたから、
それこそ、寝る間を惜しんで製作し続けた。


パソコンでデザインしてばかりだったから、
油絵を描くのも久し振りだった。


間に合うかどうかも判らない。
式に間に合わなくても、出産には間に合わせたいと思った。


茉莉子への自分の想いを託せるのは、
この筆と絵の具だけだと感じて、
とにかく一心不乱に描き続けた。
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