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100万本の赤い薔薇
第1章 いつも見てた
5人目のオトコってことかな。
でも、携帯の番号ゲット出来たのは嬉しい!

と、健太は心の中でガッツポーズを決めていた。


ギター習うより、
良い匂いがする茉莉子の隣に座って、
横顔を見れる方が、
健太にとっては重要で、
一歩前進した気持ちだった。


ギター習う
そして、お礼するってことで、
デートを持ち掛けると言う、ゴールデンコースを描いて、
デートだったら、手を繋げるかとか、
ひょっとしてキスとか出来るのかと考えただけで、
心臓がバクバクして、赤面してしまった。



「大丈夫?飲み過ぎちゃった?
お水、貰いましょうね。
ついでにちょっと、お化粧室に行ってくるわね」

と、茉莉子さんが席を立って、
ママに声を掛けに行ってしまった。


その時、茉莉子さんの携帯が震え出した。

ビクッとして、
思わずディスプレイを見ると、
登録されていない番号のようだった。


ママが水を渡しながら、

「どう?上手くいってる?」
と、茶化してくる。


茉莉子さんが戻ってきたので、
着信があったことを伝えると、
チラリと携帯を見て、

「知らない電話だから、まあ、良いかしら?
この電話、ほとんど誰にも教えてないし、
間違い電話じゃないかしら?」
と言う。


「さて、そろそろ帰るわね」


茉莉子さんは、ママにアイコンタクトを送り、
小さい紙を見てお札を載せてトレイを返した。


「あの!送ります」
と、健太も立ち上がると、少しふらついたのを見て、


「私が送りましょうか」
と、茉莉子はクスクス笑った。


一緒に外に出ると、
思ったより健太の身長が高いことを再認識した。

最寄駅を訊くと、茉莉子のマンションの近くの駅より更に先だったので、

「一駅分、酔いを覚ましがてら歩きましょうか」
と、茉莉子は提案した。


一緒に歩くと、
健太はフラフラと右の方へと流れるように離れてしまうので、
仕方なく茉莉子は健太の腕にふんわりと自分の腕を絡ませて、
にっこり笑った。


「月曜日から飲み過ぎちゃったのね。
歩道から出ちゃってタクシーに引かれるといけないから、
腕を組ませてね。」


なんだか夢のようだ。

健太は余計にふわふわした心地になった。
このままずっと、一緒に歩ければ良いのにと思って、
茉莉子に気持ちを伝えたくなって、立ち止まった。

「ずっと見てました。好きです」
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