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100万本の赤い薔薇
第10章 華燭の祭典
「あんまり亮太さんのお父様とは、お話出来なかったわ」と言った。
「母さん亡くなってから、余計にオヤジとは話もしなくなったからな。
ほら、陽子とのこと。
デキ婚だっただろう?
だらしないって大激怒でさ、それ以降は碌に行き来もしてなかったんだ。
でも…」
「これからは、少しは話をしたり、お互い行き来したいと思ってる。
オヤジは、茉莉子みたいなタイプが好きだからさ」と笑った。
「結依の時は、抱っこもしに来なかったよ。
頑固だからな。
でも、今度はちゃんと、おじいちゃんをやらせてあげたいな」
「勝手に京都行き、決めちゃってごめんなさい」
「茉莉子の体調が大丈夫なら喜んで行こうと思うよ。
方向音痴なお母さんに、
フランス人のお父さんだもんな」と笑った。
帰宅すると、拓人が「これ」と言いながら、
大きな袋を渡した。
それは見事な絵だった。
真紅のたくさんの薔薇の中に佇む女神のような女性が描かれていた。
女性のお腹はふっくらとしていて、
愛おしそうな顔でお腹を撫でて微笑んでいた。
その顔は、茉莉子そのものだった。
「まぁ…」
茉莉子は涙を浮かべた。
「凄いね。これ、買ったんじゃなくて描いたんだよね?」
「これに合う額縁を作らないとな」と長谷川が言った。
「健太って人、お母さんのこと、好きだったんだね」と拓人が言うと、
「そうだよ。
みんな、茉莉子のことが大好きなんだよ。
でも、一番は俺だけどな」と、長谷川が言うと、
「違うもん。私だもん」と結依が言って、また賑やかになる。
茉莉子は静かに、絵を眺めていた。
そして、
「健太さん、ありがとう」と呟いた。
「母さん亡くなってから、余計にオヤジとは話もしなくなったからな。
ほら、陽子とのこと。
デキ婚だっただろう?
だらしないって大激怒でさ、それ以降は碌に行き来もしてなかったんだ。
でも…」
「これからは、少しは話をしたり、お互い行き来したいと思ってる。
オヤジは、茉莉子みたいなタイプが好きだからさ」と笑った。
「結依の時は、抱っこもしに来なかったよ。
頑固だからな。
でも、今度はちゃんと、おじいちゃんをやらせてあげたいな」
「勝手に京都行き、決めちゃってごめんなさい」
「茉莉子の体調が大丈夫なら喜んで行こうと思うよ。
方向音痴なお母さんに、
フランス人のお父さんだもんな」と笑った。
帰宅すると、拓人が「これ」と言いながら、
大きな袋を渡した。
それは見事な絵だった。
真紅のたくさんの薔薇の中に佇む女神のような女性が描かれていた。
女性のお腹はふっくらとしていて、
愛おしそうな顔でお腹を撫でて微笑んでいた。
その顔は、茉莉子そのものだった。
「まぁ…」
茉莉子は涙を浮かべた。
「凄いね。これ、買ったんじゃなくて描いたんだよね?」
「これに合う額縁を作らないとな」と長谷川が言った。
「健太って人、お母さんのこと、好きだったんだね」と拓人が言うと、
「そうだよ。
みんな、茉莉子のことが大好きなんだよ。
でも、一番は俺だけどな」と、長谷川が言うと、
「違うもん。私だもん」と結依が言って、また賑やかになる。
茉莉子は静かに、絵を眺めていた。
そして、
「健太さん、ありがとう」と呟いた。