この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
100万本の赤い薔薇
第10章 華燭の祭典
渋谷の演奏会には、結依は茉莉子のワンピースを着て、
拓人もきちんとしたスラックスにジャケットを羽織った。


演奏後に楽屋に招待されると、
コンサートマスターは茉莉子が子供の頃に習ったことのあったヴァイオリニストだったので、
とても懐かしく、思わず飛びついてハグしてしまい、
周りから笑われてしまった。

ヴァイオリニストも、
「なんか、役得って感じだな?」と照れて笑い、
客演のヴァイオリニストが茉莉子の母と結婚していることにも驚いていた。


同じく客演のピアニストとして、結依が習い始めたフランス人が出演しているのを聞いていたので、
結依は花束を渡して、膝を折って挨拶すると、
ピアニストは優雅に両頬にキスをした。

そして、茉莉子にも、前日のお祝いを改めて言うと、
同じようにキスをした。

「茉莉子はヴァイオリンよりピアノをやれば良かったのに」と、
毎回同じことを言っては、
ジャンを軽く睨むのもいつものことだった。


「まあ、私は才能がありませんでしたから!」と茉莉子が言うと、
2人して「そんなことはない!」と言うのもいつもの流れだった。

そしてお腹を撫でながら、
「ユイもタクトもピアノだから、
べべちゃんはヴァイオリンをやらせるように!」とジャンは締め括ると、

「いや、ピアノだ」とピアニストが言い始めるので、
みんなで大笑いした。



次の公演で大阪に移動する途中、一緒に京都も宿泊しようと、
ちょっとした家族旅行をすることになった。

結依も拓人も、家族旅行は初めてで、はしゃいでいた。
それは長谷川も同じでウキウキしていた。

でも、茉莉子だけは冷静で、
あれこれ調べ物をしてはメモして、
モカをいつもお願いしている動物病院に預けて、
荷物をコンパクトに纏めて、いつもより一回り大きいバーキンに入れた。

出発の日、3人の荷物を見ると、
海外旅行に行くの?と言いたくなるほどの荷物だったので、大笑いしてしまった。

「あのね、京都で1泊、大阪で1泊だけなのよ?
コロコロバッグはね、京都では歩きにくいわ。
なんでそんなに大荷物なの?」と点検すると、
みんな、服を5組ほど詰めていて、タオルやら水着まで入れてる。

「何で水着なの?」

「温泉とかプールがあるかもと思って…」

「服は5組も要らないわ。タオルはホテルにあるし」と、茉莉子が荷物を整理し始めた。
/245ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ