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100万本の赤い薔薇
第10章 華燭の祭典
東京駅で待ち合わせをしたら、
茉莉子の母の荷物が大変な量だった。
だからこそ、こちらの荷物をコンパクトに纏めたのだった。
拓人と長谷川に、荷物の運搬を頼んで、グリーン車で座るとようやく落ち着いた。

「ママは昔から沢山のモノと色に溢れてたわね」と言うと、

「あなたはいつも、黒とか紺ばかり。
リボンやフリルも要らないって言ってシンプルなモノばかりだったわね。
服も持ち物も何もかも」

「でも、ママが集めてたごちゃごちゃしたモノも、
装飾がある家具も大好き。
バラバラなのに統一感があったもの」

「家を処分する時、家具や色々なモノ、
運んでくれたのね」

「えっ?」

「ああ、内緒の作戦だったわね。
着物を届けにあなたの家に行ったのよ。
あの小部屋、私が好きなモノばかりだった。
ありがとうね」

茉莉子は嬉しそうに笑うと、
母親の手を握ったまま、眠ってしまった。


「あら、疲れてるのかしら?
まあ妊婦はなんだか眠いものだけどね」と言って笑った。




京都では嵐山の老舗の料亭で懐石料理に舌鼓を打ち、
祇園で舞妓を挙げての宴席を楽しんだ。

こんな時は、茉莉子の秘書としての能力の高さとネットワークが役立った。
以前、御座敷で会った舞妓は既に芸妓になっていたが、
楽しそうに御座敷遊びを教えてくれて、グランマとジャンはとても楽しんでいた。

帰り際に芸妓は茉莉子のお腹に触っても良いかと訊き、
若い舞妓たちも嬉しそうに触っていた。

「ええおすなぁ」と溜息をついて、
「お幸せに」と見送られた。


宿は町屋をリノベーションしたこじんまりしたところを一棟貸切だった。
予約をしたのは茉莉子だったが、
急な階段を心配した長谷川が、普段貸して居ないという1階の奥の間を使わせて貰えるよう茉莉子の為にと頼んでいた。

狭い階段やあちこちにある襖や中庭が珍しく、
みんな、楽しそうに上り下りしたり、行ったり来たりしていた。


翌朝は、荷物をそのまま預けておいて、
早起きをして足を伸ばして、長岡京で筍懐石を食べた。

拓人とグランマは、「肉が食べたいよ」とぼやいていたが、
ジャンと長谷川は思いの外、喜んで食べていた。


「本当はここ、ツツジの時期も綺麗なんだけど」と言うと、
「じゃあ、ツツジの時にまた来れば良いよ。
何月かは知らないけど」と長谷川が言った。






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