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100万本の赤い薔薇
第10章 華燭の祭典
京都市内に戻り、大阪に入ると、
ジャンは打ち合わせがあると出掛けることになり、
グランマも通訳代わりに同行してしまった。


結依と拓人は、
「大阪って何があるの?」とうるさく訊くが、
長谷川も茉莉子も仕事でしか来たことがないから、
そんなに詳しくはなかった。


「お好み焼きとたこ焼きと串カツだって書いてあるよ?」と結依が言って、
高校進学だからと買って貰った携帯で検索を始めた。

取り上げられていた拓人の携帯も戻ってきていたので、
負けじとばかりに拓人も検索を始めた。


「そうだ!
健太さんのお母様、お店やってるって聞いたけど?」と茉莉子が言った。


「行きたいのか?」と長谷川が訊くと、
茉莉子は力強く頷いた。


「判った」と言い、以前貰った店の名刺を探し出して、
電話をして予約した。

健太の母親は、長谷川のことを覚えていて、
「個室を用意しておきますね」と言った。


茉莉子の体力を考えて、4人はタクシーに乗った。
20分ほどで到着した。


店に入ると、健太の母親がにこやかに迎えてくれた。
思ったより年配なのかしら?と思った。
そして、グランマよりもずっと、
茉莉子に雰囲気が似ているように感じた。


奥に通されると、
結依がハキハキと、
「大阪っぽいのをお願いします!」と言った。

美味しく食べ始めていたら、
料理を運んで来た健太の母親は、

「あの。違ったらごめんなさい。
健太が描いていた絵のモデルさんかしら?」

「モデルかどうかは判りませんが、
結婚と出産のお祝いにと絵をいただきました」と答えた。

「やっぱり!
似てると思ったの。
私は45歳での初産だったけど、
長谷川さんなら、まだお若いし、3人目でしたら大丈夫ね?」と言って空いたお皿を下げて行った。

母親が連絡してくれたらしく、健太が出来立てのたこ焼きを持って帰ってきた。

「たこ焼きは、こっちの店のヤツが美味いから」と言って出した。

「わー!」と結依が止める間もなく口に放り込んで、熱さに目を白黒させた。

「結依ちゃん、お水!
私と一緒で猫舌なんだから!!」と茉莉子が慌てた。

「あー!びっくりした。
でもすごく美味しいよ」とケロリとした顔で言った。
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