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100万本の赤い薔薇
第11章 小さな箱
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最後の数ページは、インクの色も新しかった。
そして、封筒の中には、真珠店の伝票も入っていた。
手紙を読み終わった後も、茉莉子は動けず、
流れる涙を抑えることが出来なかった。
長谷川はそんな茉莉子を、
静かに抱き締めていた。
「私…愛されていたのに気付いていなかったんですね」
「いや。そんなことは知る由もなかった。
だから、茉莉子は気にすることはない」
「でも…」
「されたことを客観的に見ると、
一方的に酷いことをされた。
それ以上でもそれ以下でもない。
愛しているから、何をしても良いわけではない。
でも、歪んでいるけど、
あの人は茉莉子のことを愛していた。
だから拓人が産まれた。
そう考えてあげたいと、俺は思った」
茉莉子は、長谷川を見て頷く。
「だから、最期に、
茉莉子と拓人を命に代えて護った。
それまでのことを帳消しにして、
浄化させた。
それまで、茉莉子と拓人を護れなかったこと。
茉莉子に対して卑劣で酷いことをしたこと。
実の姉との関係。
そんなこと全てを、あの最期の日に、
浄化出来たんだと思えたんじゃないかな?」
「裁判所で私たちを庇って刺されて、
意識を失う前に…
済まなかったということと、
愛してたということを、
確かに言ってくださいました」
「きっと、その言葉をずっと伝えたかったんだろう。
渡せないプレゼントを毎年買って、
姉に見つからないようにと弁護士に預けてまで隠して…
多分、その伝票、
亡くなる前に茉莉子に用意した最後のプレゼントじゃないのかな?」
「明日…
一緒にこのお店に行っていただけますか?」
「勿論だよ。
でも、身体に障るといけないから、
そろそろ寝よう。
先に茉莉子が寝るまで、見ててあげるから」
茉莉子は箱を寝室のクローゼットに入れ、
2人はベッドに横になった。
長谷川は腕枕をしながら、
茉莉子の背中を撫でていた。
そして、先に眠ってしまったのは、
長谷川の方だった。
茉莉子は、先生の気持ちを知ろうとしなかった自分を少し責めたが、
子供を産む道具ではなく、愛されていたことを知ることが出来たのは良かったんだと思うようにした。
そしていつか、拓人にもそのことを伝えたいと思った。
そして、封筒の中には、真珠店の伝票も入っていた。
手紙を読み終わった後も、茉莉子は動けず、
流れる涙を抑えることが出来なかった。
長谷川はそんな茉莉子を、
静かに抱き締めていた。
「私…愛されていたのに気付いていなかったんですね」
「いや。そんなことは知る由もなかった。
だから、茉莉子は気にすることはない」
「でも…」
「されたことを客観的に見ると、
一方的に酷いことをされた。
それ以上でもそれ以下でもない。
愛しているから、何をしても良いわけではない。
でも、歪んでいるけど、
あの人は茉莉子のことを愛していた。
だから拓人が産まれた。
そう考えてあげたいと、俺は思った」
茉莉子は、長谷川を見て頷く。
「だから、最期に、
茉莉子と拓人を命に代えて護った。
それまでのことを帳消しにして、
浄化させた。
それまで、茉莉子と拓人を護れなかったこと。
茉莉子に対して卑劣で酷いことをしたこと。
実の姉との関係。
そんなこと全てを、あの最期の日に、
浄化出来たんだと思えたんじゃないかな?」
「裁判所で私たちを庇って刺されて、
意識を失う前に…
済まなかったということと、
愛してたということを、
確かに言ってくださいました」
「きっと、その言葉をずっと伝えたかったんだろう。
渡せないプレゼントを毎年買って、
姉に見つからないようにと弁護士に預けてまで隠して…
多分、その伝票、
亡くなる前に茉莉子に用意した最後のプレゼントじゃないのかな?」
「明日…
一緒にこのお店に行っていただけますか?」
「勿論だよ。
でも、身体に障るといけないから、
そろそろ寝よう。
先に茉莉子が寝るまで、見ててあげるから」
茉莉子は箱を寝室のクローゼットに入れ、
2人はベッドに横になった。
長谷川は腕枕をしながら、
茉莉子の背中を撫でていた。
そして、先に眠ってしまったのは、
長谷川の方だった。
茉莉子は、先生の気持ちを知ろうとしなかった自分を少し責めたが、
子供を産む道具ではなく、愛されていたことを知ることが出来たのは良かったんだと思うようにした。
そしていつか、拓人にもそのことを伝えたいと思った。
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