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100万本の赤い薔薇
第1章 いつも見てた
健太からの電話を受けた後、
ふと、携帯の着信にあった電話が気になり、
番号を確認した茉莉子は、
金曜に長谷川から貰った名刺を取り出して見比べてみた。

番号は、確かに長谷川のものだったが、
どうやってこの番号を知ったのかが思い当たらない。


リダイヤルしてみようかとも思ったが、
常識的に考えると電話をするには遅すぎる時間だ。


また、掛かってきた時に、
電話番号をどうやって調べたかを訊けば良いと思い、
シャワーを浴びて、眠る支度をしたのだった。



今夜は飲まなかったから、
眠れない。
こんなことなら、
健太と同じペースで飲んでおけば良かったかもしれないと思った。

それと、ハグされた時、
不思議と変な緊張感や嫌悪感、怖さなどを覚えなかったなということを思い出した。

中性的な感じがするのと、
若者特有のある種の清潔感もある。
寧ろ年齢的には自分より息子に近いが故、
男性として意識する暇がなかったのかもしれない。

別れ際に寧ろ自分からハグし返していたことに、
少し困惑した。


眠れない夜に電話を出来る真人も、
アメリカに居るから、
時差ボケしてないかとか、
どんな仕事をしてるのかも判らないことを考えると電話も出来ない。


思いがけず、直球のアプローチをしてきた健太も、
さっきの電話では素っ気なかった。


アロマキャンドルを焚いて、
揺らめく焔を感じながら、
眠れないから起きていれば良いわ。


と、夜明けを待つ茉莉子だった。
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