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100万本の赤い薔薇
第1章 いつも見てた
一方、長谷川は、
一向に出ない携帯の履歴を見ながら、

「なかなか手強いな」
と呟いた。


山川茉莉子のことは、
自分たちの結婚披露宴で司会をやった時からずっと気になっていた。
ただ、嫉妬心が強く、勘も鋭い妻の手前、
連絡先を訊いたり、コンタクトを取ることは出来なかった。


まさか、かなりの年月が経って、
阿部に連れて行かれた小さなバーで再会出来るとは思いもよらなかった。

茉莉子は当時と比べて、勿論落ち着いた雰囲気にはなっていたが、
変わらず少女のような可愛らしさと透明感のある美しさがあった。

見た瞬間に、
茉莉子だと気づいた。

ただ、あの時は既にかなり酔っていたから、
どうしてももう一度、茉莉子に会いたいと思った。


翌日、荷物を取りがてら久々に自宅に帰り、
ロフトスペースに置きっぱなしで埃を被っていた当時のアルバムや招待客のリストをチェックしてみた。

同じ高校の先輩後輩でもある妻の、
更に後輩に当たる茉莉子とは、
同窓生とはいえ学年が離れ過ぎていて何の接点もなかった。
そんな見込みもないようなアルバムやらリストから、
なんとか接点になる見込みがありそうな人物をピックアップする。


放送部の顧問は、自分も習った英語教師で、面倒見も良かった。

2次会の写真で、茉莉子と親しそうに会話をしている男に見覚えがあった。
山岳部の後輩だ。
学年はかなり離れていても上下関係が厳しい伝統があるから、
こいつに訊いて知っていれば、絶対に答える筈だ。
こいつの名前はなんだっけな?
確か、佐々木だったな。佐々木真人。
山岳部のOB名簿を引っ張り出す。

それで判らなければ、妻に訊いてみるか。
それは最終手段だなと考え、
披露宴と二次会の写真を何枚か手帳に挟み込んだ。
少々癪だが、佐々木と映っている茉莉子の笑顔が、
中でも一番自然で可愛いと思った。

妻はどこかに出掛けていたので、
その場で電話を掛ける。

先生は、残念ながら入院中でと、
電話に出た奥様が言うので、
急ぎの用事ではありません。お大事にと言って電話を切った。

次に掛けた佐々木真人は、
かなりうるさい場所で電話を取ったようだ。

朗らかな口調で、
西校山岳部OB会副会長であることを告げ、
佐々木くんと同級生の放送部だった山川さんの連絡先を、
最もらしい説明をしながら丁寧に尋ねた。
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