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100万本の赤い薔薇
第2章 初めてのデート
指を絡ませるように手を繋ぐことは、
良く考えてみると学生時代以来かもしれないと、
茉莉子は思うと、
なんだかとても気恥ずかしくなると同時に、
健太はこんな歳上の女と手を繋いでいて、
恥ずかしくないのだろうかと気になった。


健太がひょいと後ろを振り向いて、

「流石にもう、見てないよな」
と言った処で、
茉莉子はこう切り出した。



「ありがとう。
この前も助け舟出してくれたのに、
今日も気遣って助けてくれたのね?
こんなオバさんと手を繋ぐの嫌でしょうに。
もう大丈夫よ」

そう言って茉莉子はそっと、
絡んだ指先を解こうとした。


すると健太は、
ギュッと指先に力を入れて言った。

「茉莉子さん、俺と手を繋ぐの、
嫌ですか?迷惑とかですか?」


「迷惑だなんて。でも…」


「じゃあ、駅まで繋がせてください。
なんか、しっくりするな」
と、健太は嬉しそうな顔で言う。


「そうだ!来週も水曜日、
ランチデート出来るんすか?」
と思い出したように訊くと、


「多分、大丈夫よ。
でも慌ただしくて、健太さんが可哀想みたい。
行きも帰りも走ってたでしょ」
と言う。


「会えるなら、ソッコー食べれるマックでも牛丼屋でも嬉しいから。
あ、でも、茉莉子さんはそんな処なんて行きそうにないっすね。
いつも昼メシって、どんな店に行ってるんすか?」


「ビジネスランチで外のこともあるけど、
大抵、お弁当よ」


「あの辺、弁当屋とかありましたっけ?
コンビニとか?」


「ううん。自分で作ったお弁当よ」と笑いながら言う。


「自分で作った弁当!!
いいなー。手作り弁当!!
高校生まではオカンの弁当だったけど、
こっち出てきてからは、そんなん、食べてないな」


「常備菜とか詰めただけのやつよ。
じゃあ、来週雨じゃなかったら、
お弁当持って公園で食べましょうか?」

そんな夢のようなことを茉莉子が言うので、
健太はすっかり舞い上がってしまった。


「雨だと、食べる場所がないから、
その時はお店でね。
お洒落なお店じゃなくて、
普段健太さんが食べてる処にしましょ」


これは、帰ったらてるてる坊主を作って、
願掛けしたろ!と健太は思った。
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