この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
100万本の赤い薔薇
第2章 初めてのデート
そうこうしてると、駅についた。

いつまでも手を繋いでいたかったが、
そういうわけにもいかない。
酒も飲まずに早々にバーから引き上げたということは、
何か用事があるのだろうと思った。

しかも、時間帯が早くて、周りは人だらけだ。
立ち止まると、人の流れを止めてしまうことが気になり、
横の小道に茉莉子を引っ張って行った。


何て言って良いか判らないまま、
「手、繋いでくれてありがとう」
と健太は茉莉子に言った。


「こちらこそ、ありがとうね」
茉莉子はふんわりと笑いながら答える。


ここで、キスだ!
キスしたいぞ!!

健太は心の中で叫んでいたが、
実際のところは、ぎこちなく繋いだ手を離しただけだった。


「こないだ、ぼんやりしてたら、
茉莉子さん、居なくなってたけど、
家、近いんすか?」
と訊くと、
茉莉子はそっと頷いた。


会話が途切れたら、もう別れの時間になってしまうと思うと、
余計に会話が続かなくなる。
何しろ健太は人付き合いも得意でないし、
東京に出てきてからは自分の方言が気になって更に無口になったからだ。


やっぱり、ハグしたろ。


そう思って一度離した手を握ってから引き寄せて、
ギュッと抱き締めた。

茉莉子もおずおず健太の背中に腕を回した。
思ったより茉莉子は背が低くて、
このままキスに持ち込むのはなかなか難しいなと思った。

片手でそっと顎を持ち上げてみると、
茉莉子が背伸びをしたような気配がした。


これはイケる!

と思って身体を屈めて顔を寄せると、
茉莉子はスッと耳元に唇を寄せて、

「キスするなんて、
100万年早いわよ」と囁いて、
耳朶に軽くキスをした。


「えっ?」

と思った瞬間に、
茉莉子は笑って、

「ギターの練習日、決まったら電話してね!
明日と明後日は仕事で夜は会えないかな。
おやすみなさい」
というと、向きを変えて、
後ろ手にヒラヒラと手を振って歩いて行ってしまった。



「やっぱ、敵わないな」
暫く立ち尽くした後、健太は地下鉄の階段を駆け降りた。



そして、部屋に帰った健太は、
手を繋いだ時のしっくりした感じと、
出来なかったキスのことと、
耳元にされたキスのくすぐったさと、
ハグした時の柔らかい感触を思い出しながら、
自分を慰めたのだった。

あのしなやかな手で…と思うだけで何度も…
/245ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ